2021年3月25日、26日、「SDG グローバル・フェスティバル・オブ・アクション from JAPAN」が開催されました。
今年は、2017年よりドイツで開催されてきた「SDG グローバル・フェスティバル・オブ・アクション」が初めてオンライン開催。 日本からは、国連開発計画(UNDP)、国連SDGアクションキャンペーン、ジャパンSDGs アクション推進協議会の共催で、世界初のローカル版として配信されました。
UNHCRは2つのセッションに参加し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けたUNHCRの活動について紹介しました。
まず、UNHCRを代表して登壇したのがUNHCR親善大使MIYAVI。2017年11月に日本人初のUNHCR親善大使に就任したMIYAVIが訪れた難民支援の現場の映像を交じえながら、事前にSNSで募集した質問に答えました。(たくさんの質問をお寄せいただきありがとうございました!)
難民の子どもたちと接する時に心掛けていること、UNHCRの活動が自身の人生や音楽にどんな影響を与えたか、新型コロナウイルスの難民への影響・・・。これまで出会ってきた難民たちとのエピソードを引用しながら想いを込めてメッセージを発信しました。「 “誰一人取り残さない”という理念は、僕たちそれぞれの責任を再認識させてくれる。より良い未来をつくろうという同じを意識をもって行動することが大切」と訴えました。
もう一つ、UNHCR主催で行われたセッションが「世界共通のゴールを目指して―スポーツのチカラと難民」。40年以上にわたりオリンピック・パラリンピックの取材を続けてきた一般社団法人カルティベータ代表理事の宮嶋泰子さんをモデレーターに迎え、スポーツと難民保護に関する活動に携わるゲストとのパネルディスカッションが行われました。
冒頭にUNHCRジュネーブ本部でスポーツを担当する渉外担当官の青山愛より、スポーツを通じた難民保護の取り組みとして、難民の子どもへの安全な環境づくりや身心の健康の維持、コミュニティを率いるスポーツ指導者の育成、スポーツへの平等なアクセスの確保などが紹介されました。また、UNHCRと国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)との連携として「オリンピック・パラリンピック難民選手団」について触れ、難民が日々を生き抜くだけでなく、未来への成功を後押しするためにもスポーツは重要だと訴えました。
パネルディスカッションでは、ケニアのカクマ難民キャンプでスポーツファシリテーターの資格を取得し、難民の若者や教員にスポーツ活動のサポートを行う南スーダン難民の女性2人が登壇しました。「さまざまな文化、民族、宗教の人々が集まる難民キャンプでは、同じことを一緒にやる機会はあまりない。スポーツはみんなを一つにするチカラがある」と、スポーツは平和構築のツールにもなっている話しました。また、これまで男性しか参加できないことが多かったスポーツに参加することで、女性は家にいるというステレオタイプを崩し、女性のエンパワーメントにもつながっていると訴えました。「コミュニティの人の助けになりたくてこの道を選んだ。いろいろな人とアイデアを共有したりして活動できるのが楽しい」とも話してくれました。
続いて、IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は、地球上の約10億人、約15%が何らかの障がいを抱えているとして、パラリンピックは障がいのある人がスポーツを通じて活躍し、世界の人々から理解と共感を得るための“プラットフォーム”としての役割を果たしていると話しました。また、パラリンピックの父と呼ばれるグッドマン博士は難民のバックグラウンドがあり、パラリンピックと難民支援には深い関わりがあること、2018年12月の「グローバル難民フォーラム」に向けてUNHCRとIOCが結んだ誓約などについて触れ、この夏に東京でも結成が決まっているパラリンピック難民選手団を、単に10億人の1人、故郷を追われた8,000万人の1人ではない、ひとりの人間として応援してほしいと強調しました。
モデレーターを務めた宮嶋さんも、これまで取材したアフガニスタン、コンゴ民主共和国出身の難民アスリートなどのストーリーを紹介。故郷を追われ、存在意義を否定され、生きる目的をも失っていた難民にとって、自分の意志で体を動かすことが希望につながっていること、スポーツには想像もつかない大きなチカラがあると締めくくりました。