3月22日、バングラデシュ・コックスバザールのクトゥパロン バルカリ難民キャンプで大規模な火災が発生し被害が拡大しています。
現地からの報告によると、3月23日午前中の時点で、15人のロヒンギャ難民の死亡が確認され、560人以上が負傷、約400人が行方不明となっています。この大規模な被害と失われた尊い命を前に、UNHCRは深い悲しみに耐えません。
UNHCRはバングラデシュ当局による対応をバックアップするため、IOMをはじめ他の国連機関、NGOのパートナー、そして難民のボランティアと連携して緊急支援を進めており、大規模火災により住まいや持ち物を失った約4万5,000人のロヒンギャ難民の保護にあたっています。
少なくとも1万のシェルターが破壊もしくは損傷したとみられていますが、この数字は調査が進むにつれて増加することが予測されます。住まいを失った難民たちは、一時的にキャンプ内の別の場所に避難しています。
やけどなど負傷した難民の数は多数で、UNHCRはやけどの治療のサポートとしてICRCを通じて医療用品を提供しました。緊急の応急処置はこころのケアも含めて行われており、難民コミュニティの医療ボランティアも今すぐ治療を必要とする人たちの特定を支援しています。
ロヒンギャ難民はまさに消火活動の中心にあり、鎮火するまで多くの人が動員されていました。現在は、UNHCRが焼失した登録証明書などを再発行する準備を進めています。
これまでUNHCRは、ブランケット3,000枚、ソーラーランタン1万4,500個、調理器具1万400セット、蚊帳1万1,500枚を提供しました。また、オックスファムと連携して緊急時の水と衛生サービスの提供を行い、仮設トイレ20基、手洗い施設、水タンク、ジェリー缶、浄水錠剤を手配しました。水タンク4基は緊急の一時避難先に設置され、難民たちに安全な水を提供しています。
UNHCRは独自の音声案内システムを使い、最も大きな被害を受けた地域の7割の世帯とは連絡を取ることが可能であるとしています。UNHCRは避難した人たちの一時的な住まいの安全をモニターし、保護者のいない、離ればなれになってしまった子どもたちを含め、必要なニーズに確実に応えるための支援を進めます。
コックスバザールの難民キャンプには、現在、87万人を超えるロヒンギャ難民が避難しています。その大半を占める72万人は、2017年にミャンマーのラカイン州で発生した襲撃から逃れてきた人たちです。
UNHCRが2021年にロヒンギャ対応で必要とする2億9,450万米ドルのうち、これまでに集まっているのはわずか16%です。甚大な被害をもたらした今回の火災によりニーズはさらに増え、現場の負担も増しています。UNHCRは各国政府、民間セクターに緊急の支援を訴えるとともに、ロヒンギャ難民と受け入れコミュニティ両方の保護と支援のためには、その時々の状況に応じた貢献が必要不可欠であるとしています。
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