2019年12月、スイス・ジュネーブで開催された「第1回グローバル難民フォーラム」(Global Refugee Forum:GRF)。世界中から難民支援のアクターが一堂に会し、2018年12月末に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」(Global Compact on Refugees:GCR)の理念に基づき各地で実施されている難民支援の事例や課題、解決に向けての新たな誓約の共有などが行われました(レポートはこちら)。
日本ではGRF開催前から、GCRで掲げられている“社会全体で取り組む難民支援”を推進するため、国内で難民支援に携わるステークホルダー間での情報交換が活発に行われてきました(GRF事前会合のレポートはこちら)。
そしてこのたび、国内の難民支援の継続的なネットワークづくりを目指し、「MSC(Multi-Stakeholder Consultation)勉強会」がスタートしました。
2020年9月末に開催された第1回のテーマは、GRFのフォローアップと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による難民支援への影響。政府、企業、大学、NGO、メディア、国際機関などさまざまな分野から約100人がオンラインで集いました。
冒頭、UNHCR国会議員連盟会長の逢沢一郎議員より、「新型コロナウイルスによってもたらされた困難な状況において、最も影響を受けるのは弱い立場にある人たち。今、難民支援で何が求められているのか、この勉強会の中で議論が行われ、難民問題を良い方向に動かすきっかけとなるよう願っています」とあいさつがありました。
続いて、今年4月にUNHCR駐日代表に就任したカレン・ファルカスは、「コロナ禍の危機的状況においては、私たちがより一丸となって、難民問題に対応していくことが求められています。日本では多様なステークホルダーにより、建設的かつ開かれた議論が行われていることを頼もしく思います」と話しました。
2時間以上にわたった勉強会は、日本政府、NGOからGRFの成果やフォローアップについての報告、NGOや教育機関、企業からコロナ禍で実施している国内外での難民支援についての共有があり、後半はグループに分かれて、COVID-19の活動への影響、難民支援における課題などについてのディスカッションが行われました。
各グループでは、COVID-19感染拡大によって生じた規制の中での支援の難しさ、世界的な危機の中で難民問題に対する社会の関心をどう維持していくか、日本の第三国定住や留学生受け入れに関する課題や展望など多様な意見が飛び交い、それぞれの経験や課題が共有されました。
コロナ禍でオンラインでのスタートになったMSC勉強会。この世界的な危機の中で国内外で効果的な難民支援を続けていくために、日本国内のネットワークづくりがカギであることが再確認されました。
2回目以降の勉強会は、教育、雇用など特定のテーマを設けてさらに議論を深め、日本のステークホルダーの連携を強化し、現場での実践につなげていきます。
▶「難民に関するグローバル・コンパクト」についてはこちら