レイプのサバイバーのエンパワメントに取り組む難民の教師、難民の子どもに読書と学びの機会を作りたいと奔走する4人の母親の科学者、障がいのある故郷を追われた人の権利を守るために奮闘する活動家、難民の子どもを“道端から教室へ”と、スポーツへの愛を通じて野心あふれる活動を進める難民のサッカー選手。
世界各地でさまざまなニーズのある人たちに懸命に手を差し伸べてきた4人のヒーローが、今年のナンセン難民賞の地域賞に選ばれました。人道支援の精神と自身の努力をもって、故郷を追われた人たちの力になりたいと続けてきた活動が評価されての受賞となります。
受賞者4人はそれぞれの方法で、南スーダン、東ウクライナ、シリア、アフガニスタンの紛争により移動を強いられた難民、国内避難民を含むコミュニティの人たちの生活を変えたいと、草の根レベルでイニシアティブを発揮してきました。
故郷を追われた人を保護するための取り組み、その献身的な姿は、初代難民高等弁務官であり、ナンセン難民賞の名前の由来にもなっているフリチョフ・ナンセンの素養、精神をまさに反映したものです。ナンセンは著名な科学者、北極探検家、政治家であり、逆境に果敢に立ち向かったその姿が世界的に知られています。
ナンセン難民賞は、難民、国内避難民、無国籍者の支援の枠を超えたイニシアティブを実践しているコミュニティのヒーローに光を当てるために、年に一度、人道支援従事者に贈られています。
何百という候補者の中から選ばれる「ナンセン難民賞」に加え、今回発表された地域賞が4大陸それぞれに設けられています。これまで注目を浴びてこなかったヒーローたちによってもたらされた変化、移動を強いられた人たちの生活を救った偉大な功績をたたえたものです。
今年の地域賞(アフリカ、アジア、ヨーロッパ、中東)の受賞者は、以下のとおりです。
<アフリカ>
サブーニ・フランソワーズ・チクンダ
ウガンダ在住、コンゴ民主共和国出身の難民の教師。性とジェンダーに基づく暴力(SGBV)の被害者・サバイバーを支援する女性センターの創設者であり代表。
<アジア>
ロズマ・ガフォウリ
イラン在住のアフガン難民、ユースイニシアティブ基金プロジェクトの共同創設者。イランの難民の子どもたちを“道端から教室へ”と、コミュニティに根差したイニシアティブを実践。
<ヨーロッパ>
テティアナ・バラントソバ
ウクライナ出身。ルガンスク州のNGO”AMI-Skhid”(東部ドンバスの障害のある女性・若者・家族の会)共同創設者で人権活動家。障害のある人の権利の改善と保護のための啓発活動にNGOで取り組む。
<中東>
ラナ・ダジャニ博士
ヨルダン出身、分子細胞学を専門とする科学者。“We Love Reading”プロジェクトを創設。難民キャンプを含めすべてのコミュニティの子どもが本や読書にアクセスできることを目指す。
地域賞の受賞者には、それぞれの地域のスイス、ノルウェー両大使館の協力により、授賞式で賞状が授与されます。
今回の地域賞に加え、ナンセン難民賞の受賞者は10月1日に発表され、10月5日にオンラインで授賞式が行われます。
ナンセン難民賞は、スイス政府、ノルウェー政府の協力を得て運営されています。
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