ウガンダで避難生活を送る南スーダン難民のビダル。32歳という若さにして、これまで3度の避難を経験しています。
避難を繰り返すたびに、ビダルはあることが気になっていました。ウガンダの緑が少しずつ減っているのです。
「初めてここに来たときは、木が生い茂っていました。でも今はほとんどありません」。ビダルが家族と生活するのは、3000人近くが暮らす難民居住区の一画。かつては木々に覆われていましたが、今はほぼすべて、農地や住居になってしまいました。
「私たちが呼吸したり、木陰で休んだりできるのは木のおかげなのです」。一本の木が吸収する二酸化炭素量は1年間で約22キロ、40年間で約1トンにもなるといわれています。
ウガンダは世界で2番目に多くの難民を受け入れており、シェルター建設や農地確保のために、難大量の木が伐採されています。もちろん、ウガンダの人々も日々の生活のためにまきなどが必要です。繰り返される木々の伐採は、環境に大きな負担となっているのはもちろん、難民と受け入れコミュニティの資源をめぐる緊張関係にもつながってきました。
避難の原因である紛争を止めることはできない。でも、木を植えることで難民を迎え入れてくれた土地に恩返しはできるとビダルは考えました。
「燃料やシェルター建設のために木を切る分、継続的に植林することが重要です。南スーダンに帰れる日来た時、この土地を元の状態しておくのが私たち難民の役割なのです」と力強く話します。
UNHCRとパートナー団体は、苗木の栽培や森林再生の教育などを通じて、ビダルたちの植林活動を支援しています。ウガンダ政府とも連携し、この1年で840万本の苗木を栽培し、数百ヘクタールの森を再生する目標を設定しています。
ビダルの1日は、自分が植えた苗木の水やりから始まります。彼の熱い思いが、木々の栄養にもなっているようにも感じられます。
「二度目の避難で戻ってきた時、自分が植えた木が残っていて、そこで生活している人がいました。私が誰かの家を作ったのです」。そう誇らしげに話してくれました。
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