ジュネーブ(12日)発――UNHCRは、騒乱の続くイラク国内の国内避難民や近隣諸国に避難している難民のために、2007年の予算を1億2300万米ドルに倍増することを発表した。
12日に発行されたUNHCR支援補正要請は、極度の暴力に直面して逃れるイラク人の避難状況はおさまらず、近隣諸国に大きく影響していると発表した。前政権時、そして2003年以降に国を逃れたイラク人は400万人以上にのぼる。約200万人のイラク人がシリア、ヨルダンにおり、さらに200万人が国内避難民となっている。
この現状について、1948年のイスラエル建国以来中東における最大規模の人口移動と警告する支援要請は、イラク人の少なくとも7人に1人が避難しており、1日に推計2000人が故郷を追われていると報告している。また、2006年前半から、約82万2000人がイラク国内の他の地域に避難していると指摘されている。
補正された1億2300万米ドルの予算は、UNHCRの1月の時点での6000万米ドルの予算も含み、現在までに、UNHCRはドナーから6700万米ドルの活動資金を受けており、さらに1000万米ドルが支援表明されている。
UNHCRは既に15万人のイラク人の登録を近隣諸国で行った。最も脆弱な立場にあるイラク人9000人が第三国定住を選択した。その中にはアメリカに移住する8000人も含まれている。第三国定住する人々の20%以上は、危機に瀕している女性である。
周辺地域では、約6万人のイラク人避難民の子どもが学校に通っている。UNHCRの支援している医療施設等を利用するイラク人は1か月に約1万人、別の1万人が定期的に食糧配給を受けている。UNHCRの緊急貯蔵庫には現在15万人の受益者を支援できる備蓄がある。UNHCRはイラク国内7か所の事務所と保護・支援センターによりイラク国内全ての地域をカバーしている。緊急支援はバグダットのパレスチナ難民や増え続ける首都から国境付近のキャンプに避難する人々にも提供されている。
最近行なわれたダマスカスでの調査によれば、76パーセントの難民の子どもは2~3年間学校に通っていない。同調査は80パーセントのイラク難民は貯金又は寄付に頼って生活し、そのうちの34パーセントは1か月の生活費すら無い状態にある。
UNHCR支援補正要請は、イラク国内及び近隣諸国での活動両方に焦点を当てている。イラク国内では、UNHCRは最も脆弱な立場にいる人々に対する避難所の提供を含む支援物資供給を最大10万人分へと拡大する。
イラク国外では、UNHCRは教育、保健、食糧、社会的そして法的支援、避難所の5つの領域を中心に活動を行っている。教育分野では、10校の学校の建築を支援し、100校の修復を手助けしている。この活動はUNICEF(国連児童基金)と共同で行い、2007年末までにイラク人の子どもの就学数を6万人から20万人に増やすことを目標としており、新たな支援要請が出される予定。保健分野では、UNHCRは今年末までに1か月の医療支援対象者を1万人から2万人に増やす予定。また、WFP(世界食料計画)と共に支援の必要な家族や学校への食糧配給を拡大し、追加の食糧配給プログラムを推進する。また、2007年末までに、イラク人2万人の第三国定住が進められる。コミュニティカウンセリングセンターが8か所に設立され、さらに12か所が今年の終わりまでに建設される予定。
UNHCRのこのイラクの活動に現在300人を超える職員がシリア、ヨルダン、レバノン、トルコ、エジプト、イラク、ジュネーブ本部で携わっている。
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