タイ、タムヒン発(21日)
カジュアル衣料大手の株式会社ユニクロが、CSR(企業の社会的責任)の取り組みの中で全国720店舗で実施された全商品リサイクル活動を、アジアの難民支援のために取り組んでいる。
UNHCR駐日代表ロバート・ロビンソンは、「CSRは、日本社会の中でその重要性を増してきている。今日まで平和と安定を享受してきた日本が、経済を駆使し、購買力を難民へのために活用しようとするとても前向きな流れである」と高く評価する。
このたび、ユニクロCSRチームの一行はタイのタムヒン難民キャンプに出向き、キャンプの現況を視察した。またミャンマー難民とそのコミュニティー・リーダーと会談し、難民が直面する諸問題について説明を受けた。視察後、ユニクロの重本氏は、「デング熱やマラリアなどの予防という意味でも衣服は大切な役割を果たし、服を着ることは人としての尊厳に関わる」小柴氏は「ただ単に配布をするだけはでなく、お客様の善意を胸に、私たちの心も一緒に届けなくてはならない。難民の閉ざされた生活の中で衣服がほんの少しでも楽しみや潤いを感じられるような支援を工夫したい」と今後の抱負を語った。
タムヒンキャンプだけでも3000人の就学児がいる。日本からの善意がこの子ども たちに届く日は近い。
©UNHCR/S. Sae Ree
コミュニティー・リーダーのダニエルさんは「キャンプの中でも最も弱い立場や、新たにキャンプへ流入してきた難民にとって衣服の寄付はまたとない素晴らしい機会である」と喜びの声をあげた。また、「衣服はキャンプで収入を得ることができない難民、また第三国へ新しい生活のため旅立つ難民にとっては当然の権利である」と、UNHCRカンチャナブリの職員も日本からの善意に同調する。
12月4日から6日までアントニオ・グテーレスUNHCR高等弁務官が来日する。この機会に、12月4日、「人道支援と企業のCSR」をテーマとした来日記念シンポジウムが開催される。
日本には1980年代初頭からCSRを推進してこられた一企業人がいる。迫害を逃れてきた難民へ視力検定と眼鏡の寄贈という支援を20年以上にわたって行い、「未来へのビジョン」を届けてきた。富士メガネの金井昭雄会長はこれまでの功績が称えられ、今年、日本人として初めてナンセン難民賞を受賞。その祝賀レセプションが来る12月5日にとりおこなわれる。
弱い立場の難民、また新たに流入した難民たちへの衣服の支援が待たれる。
©UNHCR/S. Sae Ree