ルワンダの首都キガリ市街地の混み合う交差点を抜けて、会社の倉庫に向かうブルンジ難民のアニック(33)。2015年、情勢悪化を受けて家族と逃れてきた彼女は、新たにこの街で、兄と一緒に小さなLPガス(液化石油ガス)の販売会社を経営しています。
起業してから3年余り、ビジネスは起動に乗りつつありますが、これまでの道のりは簡単なものではありませんでした。
アフリカで一番クリーンで、緑の多い街として知られるキガリ。故郷でも経済的に自立した生活を送っていた彼女が“稼ぐ方法”として目をつけたのが、クリーンエネルギーを使ったビジネスでした。多くの資金が必要だということは承知のうえで、調理用のLPガスを販売する会社の起業に挑戦することにしました。
そんなアニックたちを力強くサポートしたのが、ルワンダで難民の起業支援を行う経営コンサルティング会社インコモコ。UNHCRのパートナーでもあるインコモコは2016年に活動をスタートし、2017年には809人の起業家を支援。2600の雇用が生まれ、地域経済にも大きく貢献しています。
アニックはいとこから紹介を受けてインコモコとつながり、会社の登記や納税、経営などについて指導を受けながら、会社は5人の従業員を抱えるまでに成長しました。
インコモコの難民支援プログラムの責任者イランボは、「さまざまな知識や技術、文化が入ってきて、社会に新鮮な価値観を吹き込んでくれています」と、難民の受け入れを通じて、地域と難民の両方に良い影響が生まれていると言います。
また、ルワンダ政府もIDカードや移動許可証の発行、自立支援、健康保険や教育へのアクセスなどあらゆるアプローチを通じて、難民の社会統合を後押ししています。
ルワンダ危機管理省の担当者は、「少し歴史をさかのぼれば、私たちも難民だった。コンゴ民主共和国やブルンジの難民がルワンダでも輝くことができるようにサポートを強化していきたい」と話します。
現在、世界の2540万人の難民のうち、約6割は都市部で暮らしています。フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官も、難民支援における都市の役割を強調しています。
アニックは今日も生き生きと働きながら、「都市にいれば、難民でも働くチャンスが増える。働くことで、避難先の社会の一員であることも自覚できるのです」と、難民の就労の意義を訴えています。
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