「ベネズエラでは、仕事も食べ物も、薬もありませんでした。家も車も、持ち物もすべてを売って、ブラジルに来たのです」
ゴンザレス(50)はベネズエラで建築会社を経営していましたが、国内の混乱の影響を受けて倒産。8カ月前、仕事を求めて息子と一緒にブラジルにやって来ました。国境近くの町ボアビスタを目指しましたが、大量の人が押し寄せて避難所がいっぱいに。早急な対応が求められるなか、サンパウロがいち早く手を挙げて受け入れ体制を整えました。
ゴンザレスはサンパウロ到着した後、近郊の避難所を割り当てられました。そして、自治体の就業支援プログラムを通じて運送会社に就職。収入も少しずつ安定し、ふるさとに残してきた家族に仕送りもできるようになりました。
最初のころは3時間かけて通勤していましたが、同僚が職場近くのアパートを紹介してくれ、冷蔵庫やストーブ、家具なども準備してくれました。靴を届けてくれた近所の人もいます。「こんなに温かいサポートを受けられるなんて思いもしませんでした。ブラジルでも家族ができたようです」。
「私たちもベネズエラの文化や、常に前を向く姿勢などを知ることができ、双方に良い影響があると考えています」とゴンザレスの上司も受け入れに前向きです。
サンパウロでは難民の人たちが仕事を通して自立することが最善の道であると考え、就業支援を進めているといいます。最大の障壁となる言語に関しても、難民や移民に対するポルトガルの学習プログラムを提供しています。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、世界各地で発生している難民危機の対応策として、それぞれの地域の都市の役割の重要性強調しています。サンパウロだけでなく、ウィーンやエルビルなど多くの都市で、すでに難民の受け入れにおいてさまざまな取り組みが展開されています。
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