レバノンの首都ベイルートで暮らすシリア難民のマナール。ATMにカードを差し込み、暗証番号を入力してレバノン・ポンドの現金を引き出しています。
2012年に故郷のシリアが襲撃に遭いレバノンへ逃れてきた彼女は、夫を交通事故で亡くしてから、一家の大黒柱として6才、9才、12才の3人の子どもを育てています。「現金給付を受けて、子どもたちの通学費用に充てています。何かのためにお金を払えることが、本当にうれしいのです」と話します。
UNHCRは、各国政府や他の国連機関、NGO、民間企業と連携し、現金給付による支援を強化しています。直近の2年、2016年と2017年の実績は94カ国、総額12億ドルが約1050万人に給付されました。
西アフリカのニジェールにある難民キャンプでは、2500台の携帯電話を支給。ショートメールで現金給付が通知される仕組みになっており、キャンプ内の携帯電話ショップで現金を引き出すことができるほか、携帯電話による電子マネーで支払いを済ませることもできます。
マリから逃れてきた ゼイナブは、現金を得て材料を購入し、クッションをつくって販売しています。受け入れコミュニティの小売店の多くは、難民への現金支給が始まってから収益が増加したといいます。難民が地域のサービスを利用することで、地域経済の活性化にもつながっているのです。
そして何より、現金を手にすることは、ふるさとを追われた人々、帰還を試みる人々が次のステップに進む大きな力になっています。また、使い道にほぼ制限が設けられていないため、難民自身が何に使うかを考え、選択することができるのもメリットです。キャンプの外に出て地域に溶け込んでいくことで自立を促し、持続可能な生活への道が切り開かれてきます。
難民たちが尊厳を持ち、より安全を確保して生活していくために、UNHCRは現金給付による支援を広げていきたいと考えています。
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