2009年に中東からオランダに逃れてきた難民のミナ(26)。2017年にオーストリアで行われた国際オリンピック委員会公認のスペシャルオリンピックに出場し、ショートトラックスピードスケートで銅メダルを2つ獲得したという実力の持ち主です。
クリスチャンであるミナの家族は、中東では宗教的迫害の恐れがあり、その生活は決して簡単なものではありませんでした。さらにミナは、学校でいじめに遭っていました。知的障害のある彼に対するクラスメートの態度はひどく、先生もかばってくれない日々が続き、19年間家から出るのを拒んでいました。
でもそんな彼の生活は、オランダに来て変わりました。
きっかけは、スポーツを通じて、“誰ひとり排除されない社会”を目指して活動するNPO「SuperCOOL!」との出会い。障がいの有無関係なく、毎週木曜日に地域の若者たちが集まってスポーツをし、友情をはぐくんでいるのです。
母親のマリアは、「この活動に参加するまで、息子は私に頼りっきりでした。でも今は、彼の行動、言葉のひとつひとつに強い意志を感じます」
NPOの創始者であるアントンは、「障害のある人とない人が共にトレーニングをする姿は、とても美しいものです。内向的な若者たちが、少しずつ、他者と協調する大切さを身に付けていきます」と言います。
今回、ミナはスペシャルオリンピックで、「スタジアムから応援の声が聞こえてきて、『みんなが待ってる。ここが僕の居場所だ』と思いました」と語ります。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、「障害のある人は、変化を起こす力強さを持っています。多様性が尊重され、より開かれた社会を実現していくためには、彼らの力が必要です」と話しています。
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