今、世界でなにが起こっているのか、記事のポイントは何か、読者をひきつけるのはどんな見出しか・・・。
いくつもの新聞の朝刊を並べて議論しているのは、ジャーナリズムを学んでいる生徒たち。さまざまなアイデアが飛び交い、いつも議論は尽きません。
ここはオーストリアの首都ウィーン。議論しているのは、イラン、イラク、アフガニスタンから逃れてきた庇護申請者たち。オーストリアのニュース雑誌「Biber」が運営しているメディアトレーニングコースを受講しています。
「Biber」は、2006年にオーストリア人の政治ジャーナリスト、シモン・クラヴァーニャが立ち上げた雑誌。かつてバルカン半島とトルコから多くの人が移動してきたことで、少しずつ変化していったウィーンの街。その流れを受けて、シモンは異なる民族的背景を持つ“記者”を採用するようになりました。
そして2015年に難民危機が起こり、もう一度なにかできることはないかと考えたシモン。その2年後に難民のためのジャーナリズムコースをスタートし、今年はさらに庇護申請者を対象にしたコースも立ち上げました。
「Biber」で記者として働きながら、難民、庇護申請者への授業を担当しているアマール(36)も、12歳のころにボスニア・ヘルツェゴビナから逃れてきた難民です。かつての自分の姿を生徒たちに重ね、指導にも熱が入ると話します。
参加条件は、メディア経験があること、または、ジャーナリズムに強い興味があること。受講生の一人、アフガン難民のナルギス(20)は「ここで学んだことを生かして働いて、いつか独立したい」と、意気込んでいます。
現在の受講生は男女12人。今後は難民女性を対象としたコースを新たに作ろうと計画しています。
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