フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は6月20日の「世界難民の日」にあわせて、リビア、ニジェールの訪問を経て、マリのガオに降り立ちました。
サハラ砂漠の町として知られるガオは、旅行者や移民、難民のほか、兵士や反政府勢力の通り道になっており、20カ国以上から成る国連平和維持活動(PKO)の国際基地でもあります。
グランディ高等弁務官は限られた日程の中で、あらゆる境遇の難民から話を聞きました。
この数カ月で、隣国ブルキナファソから逃れてきた難民の数は5000人超。「街が50人もの反政府軍に取り囲まれ、無作為に住民50人を拘束していきました」。そう振り返るマウモウニは家族を含む数十人と国境近くに逃れましたが、小さな小屋の中で暮らさざるを得ず、十分な食糧支援もないといいます。
イスラム過激派と治安部隊の衝突が続くニジェールからは、1000人以上もの人が逃れてきています。「暑いなか夜通し歩かなければならず、子どもたちにとっては酷でした」というミリアムは途中でカートで運んでくれる人を見つけ、ゴアまで乗せてもらったといいます。食糧は受け取ることができていますが、紛争の記憶によるトラウマに苦しんでいます。
2012年に紛争のためニジェールやブルキナファソに逃れ、マリに戻ってきた難民の数は約1万人に上ります。その一人であるシッセは2014年にマリに戻り、帰還民、国内避難民の支援組織をサポートしています。「ニジェールにまた戻り、家族のために食糧を調達しなければならない帰還民もいます。家は破壊され、基礎サービスも行き届かず、もっと助けが必要なのです」。
こういった難民の話を受けて、グランディ高等弁務官は世界に対して資金援助の必要性を訴えました。
「今ある資源だけでは、難民や受け入れコミュニティーのニーズに十分対応できません。国際機関も資金不足であるうえに、これは政府だけで解決できる規模の問題ではありません。このままではヨーロッパへの移動がさらに加速し、ヨーロッパの人たちの難民受け入れへの不満は続く一方です」
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