エスペランザ(27)は、コンゴ民主共和国出身のファッションデザイナー。ケニア北西部のカクマ難民キャンプで、デザインショップを経営しています。
北キブ州で激化する紛争からケニアに逃れてきたエスペランザ。ファッションデザイナーの仕事を続けたい一心で、カクマ難民キャンプで店を開いたのは2011年。設立資金は、わずか2万2,000ケニアシリング(約2万4,000円)でした。
ところが、彼女のデザインする服が、この地域の隙間産業にぴったりとはまったのです。キャンプで暮らす難民だけでなく、受け入れコミュニティの人々の注目も集め、今では1カ月に2,000ケニアシリング(約2,200円)を売り上げるまでになりました。
エスぺランザ以外にも、カクマや近隣の町で起業している難民は多くいます。電気工、パン屋、タクシーサービス、床屋、インターネットカフェの経営・・・、業種もさまざまです。
そう、今、難民によるビジネスの可能性が広がっているのです。
それを実証したのが、5月はじめに国際金融公社(IFC)とUNHCRが発表した共同研究です。難民は単なる支援対象者でなく、その地域の経済活動に深く関わっていること、キャンプや近隣の町は、民間にとって良いビジネスチャンスがあることなどが記されています。
さらにこの研究では、カクマでは大小含めて2,000を超えるビジネスがあり、地域の経済規模は60億ケニアシリング(約65億円)に及ぶと算出されています。こうした動きは、難民の自立、経済的、社会的融合を促すだけでなう、受け入れコミュニティーの発展にも寄与するとされています。
IFCの最高責任者であるフィリップ・レ・ホーエロウは、「政府だけでできることは限られますが、民間の投資が進めば難民の雇用を生み、大きな変化を生み出すことができます。この研究は、新たな市場に民間投資を増加させるため第一歩なのです」
IFCとUNHCRは、テレコミュニケーション、教育、医療などの分野において、この研究が、カクマ難民キャンプでの民間投資の認知度向上につながることを期待しています。
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