雪の降るある日、アフリカから56人の難民がフランス東部の小さな村に到着しました。これから4カ月、難民たちはフランスのNGO「France Horizon」の支援を受けながら修道院で暮らし、この村での生活基盤をつくっていきます。
今回タル=マルムティエ村に逃れてきたのは、エリトリア、エチオピア、スーダン、中央アフリカ共和国、マリ、ナイジェリアの人々。中には、リビア、ニジェールを経由してたどり着いた人もいます。
この村の難民受け入れは、多くの人の温かい心によって支えられています。
「France Horizon」で統括を務めるのはアブドル。受け入れの手続き、住居の手配から、病院の予約、石鹸の配給まで、さまざまな業務に一日中駆け巡っています。
小学校教員のシルヴィアンヌは、修道院内で難民の子どもたちが地元の学校に入る前の準備クラスを受け持っています。いつも学ぶことに意欲的、一生懸命に努力する子どもたちに刺激される日々だと言います。
教師のモハメドは、フランス語の勉強に励む大人たちのクラスを担当しています。フランス社会に溶け込めるよう、自己紹介や家族の状況の伝え方はもちろん、選挙や三権分立などといった文化の違いについても教えています。
コンゴ民主共和国から逃れ、2009年にフランスの市民権を得たニコラスは、社会面、教育面での頼もしい相談役となっています。難民の気持ちを誰よりも理解できる彼だからこそ、できる役割です。
修道院の向かい側で暮らすピエールとデニスは、最初は村での難民受け入れに不安があったと言います。でもその考えは、難民たちと接することで変わりました。今では彼らを心から歓迎し、一日も早く村の生活に馴染んでもらいたいと思っています。
ここで紹介したのはほんの一部。この村で暮らす約800人が、それぞれの立場で、新たな仲間が人生の次のステージへの一歩を踏み出せるように手を差し伸べているのです。ディステル村長は、「難民たちの新しい生活に少しでも貢献できていることをうれしく思う」と話しています。
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