トルコから難民や移民が継続的に海を渡って到着する中、ギリシャのサモス島にあるヴァシーや、レスボス島のモリアにある難民や移民の受け入れ施設は過密状態が続いています。
2016年3月に交わされたEUトルコ合意以降、欧州へのバルカンルートが閉ざされたため、地中海を渡ってギリシャの島々に避難してくる人は、2015年~2016年の緊急事態と比べて激減。ただ、2017年8月ごろからギリシャ政府が難民危機への全対応を担うようになり、受け入れや移送のキャパシティが追いつかないことから、施設の状況は悪化しています。
UNHCRは、島の受け入れ施設からギリシャ本土への人々の移送を支援しています。昨年10月から、すでに1万人を超える人々が移動し、施設の過密状態は徐々に改善しているものの、ヴァシーでは現在、最大受け入れ人数700人の2倍にあたる1450人が滞在しています。
モハマド・アルハジェール(36)は最近、サモス島から本土のピレウスに移動することになった1人です。モハマドは、受け入れ施設で何週間も簡易テントで生活していましたが、妻や子どもたちの健康状態と安全を心配しており、島から一刻も早く出ることを望んでいました。
モハマドを始めとした庇護申請者やUNHCRの職員は、ネズミの発生、水や電気の不足、争い、性暴力の危険、警備員や医療関係者の不足など、受け入れ施設で起こっている問題に対し懸念を抱いています。空爆により腕を負傷しているモハマドですが、ヴァシーでの医療関係者不足により、まだ手術を受けられていません。モハマドの娘のマリアも、空爆で叔父が目の前で殺され、心に傷を負っています。
UNHCRや他の支援団体はこうした問題を認識し、政府関係者に対し、医療関係者の派遣や、本土への人々の迅速な移動などの対策を取るよう促しています。また、UNHCRは住居支援プログラムを通じて、2万2000人以上に対して現金給付や住まいを提供したり、安全を確保しています。
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