2016年1月から6月まで、UNHCR駐日事務所の法務部でインターンを勤めました。
難民問題に関心を持ったのは、大学院入学後にヨルダンを訪れた時です。
その後、学生会議をきっかけに日本に来た難民の現状について本で読み、彼ら個々人の困難な状況を知りました。同時に、何が法的・政策的なボトルネックになっているのかをもっと知りたいと思いました。そうしたところ、JICAのPARTNERというウェブサイトでUNHCR駐日事務所のインターンの募集を見つけて応募しました。
インターンシップをした目的の一つは、政策的な現状や、難民となり日本に暮らす人たちの状況、UNHCRや国内の他のアクターがどのように関わっているのかを知ることでした。また、国際機関での仕事は実際にどういったもので、自分が将来難民支援の仕事に携わるためにどのような力をつけるべきかを見極めることも別の重要な目的でした。
日々のインターンの役割は多岐にわたりますが、難民の出身国情報の整理や出版物の翻訳、企業・地方自治体の取り組みや欧州各国の難民政策の調査、統計の作成などを担当しました。また、高等弁務官訪日の際には、会議やコミュニティ・ミーティングなどのイベントのサポートに携わることができ、政治に関わる人々の考えや、難民や申請者として滞在する人たちの暮らしぶりを知る貴重な経験となりました。
UNHCRのパートナーのNGOが行うカウンセリングに同行させていただく機会もあり、そこで伺ったお話はとても印象に残っています。さらに、年間活動報告書の作成や、アドボカシーのための戦略を話し合う所内のミーティングなどに参加したことも、事務所の活動全体の文脈を理解する上でとても有益でした。UNHCRは難民や受け入れ国政府、その国の社会、国際情勢の間に立つ役割を担っていますが、異なる立場の状況や考えを理解し、制約の中でも信念を持って前進していくという、組織としてのあり方や職員の方一人ひとりの姿勢に学ぶことは多いと思います。
平日のうち4日インターンシップを行い、大学院の授業を1日に5つ履修していたので、そうした調整には頭を使いましたが、法務部の皆さんはインターンシップの日程について、とても柔軟に対応してくださいました。また、複数のタスクの期限が同時に迫ってくるタイミングでは忙しくなりますが、職員の方と相談しながらインターンの仲間と協力して進めていくので、大変と感じることはありませんでした。逆に、自らの役割によりオーナーシップを持てば、より大変と感じるのかもしれません。その点は今後の反省点です。
楽しかったことはたくさんありますが、海外の事務所で働く日本人職員の方が、一時帰国中に立ち寄って活動報告をして下さるブラウンバック・セミナー※を毎回楽しみにしていました。それだけでなく、お昼ご飯を食べながら、あるいは仕事の後など、カジュアルな場で伺った職員の方々のこれまでの経験は、本で読んだりするのとはまた違うリアリティがありました。
UNHCRでのインターンシップは、難民問題を取り巻く状況やUNHCRの働き方を実感として理解するためのとても良い機会になると思います。応募を考えているタイミングで募集されていない場合は、次はいつごろ募集がありそうか、メールで問い合わせてみるといいと思います。ぜひ挑戦してみてください!
※時期によって開催されない場合があります