皆さん、緊急事態対策地域センター、通称eセンターをご存知ですか?
eセンターはアジア太平洋地域における人道的緊急事態、難民問題に対応する機関・人材の能力向上を目的に、ワークショップ形式のトレーニングや自己学習教材、資料・情報提供を行い、緊急時に対応する参加者のネットワークの管理・維持を行っています。今回は3日間の日程(11月26-28日)で行われた「国際人道支援における不測事態対応計画」のワークショップの様子をお伝えします。
<参加者>人道支援に関わるNGO、政府職員、メディア、国連機関から30名
仮想の国「ドメスタン」で人道的緊急事態発生。参加者は政府、国連機関、村人、NGO、報道機関など一人一人違った役割が与えられ、どうしたら人道的支援が迅速に行えるか、実際に動きながら考えます。
「ドメスタン」に関する資料を読み込み、今後起こりうる事態を想定。「インパクト(影響力の度合い)」と「起こる可能性」を、写真のような表にまとめます。それによって緊急度の高い事態が何であるのか把握出来るのです。
緊急事態に対し「どの組織が何を提供出来るか」を表にして課題を洗い出す作業を行い、その後「政府」「国連機関」「NGO」「村人」「ドナー国」「赤十字」「支援物資を製造・販売する企業」のグループに分かれ、それぞれの代表者が集まる模擬会議を行いました。
3日間のトレーニング終了後、晴れて修了証書が手渡されました!
<参加者の声>
特定非営利活動法人ADRA Japan (アドラ・ジャパン)プログラム・オフィサー
伊丹知子さん
3日間の研修で、Contingency Planning(不測事態対応計画)について実践的に学ぶことが出来ました。初日のロールプレイ(模擬演習)では、事前準備のない緊急対応は正しい情報を得るのが難しく調整に時間がかかり、必要な支援を現地に届けることが出来ないという事を実感させられました。反対に不測事態対応計画を通して誰がどんな物資を持っているかを把握して、普段からの関係作りをする事で緊急時の対応能力を高めることを学びました。ワークショップは政府機関、国際機関、NGO、メディアなど様々な関係者が集まり、意見交換をして顔が見える関係作りをする良い機会になったと思います。
陸上自衛隊 中央即応集団司令部 民生協力課 連絡・渉外幹部 一等陸尉
小川哲さん
大変良い勉強になりました。今後もこういった交流の機会を設けて頂きたいと思います。
小川さんは12月に南スーダンへ派遣される予定だそうです。頑張って下さい!
特定非営利活動法人HuMA 保健師/看護師
齋藤結香さん
人道危機における事前対応計画のワークショップでは、IASC(関係機関常任委員会)ガイドラインやスフィアプロジェクト※を使用しながら、援助における国際基準と対応計画を学びました。NGO関係者、市民社会団体、政府関係者と直接意見を交わしながら、とても楽しくて熱気にあふれた3日間でした。医療専門職者としても、支援全体の計画をきちんと理解した上で協力することが、質の高い人道支援活動に繋がるのだと思いました。このような貴重な研修に参加させていただき、大変感謝いたします。
※スフィア・プロジェクトは 、N G O のグループと赤 十字・赤 新月社 運 動によって、人道援助の主要分野全般に関する最低基準=スフィア・ハンドブック=を定める目的で1997年に開始されました。ハンドブックの目的は、災害や紛争における人道援助の質、および被災者への人道援助システムの説明責任を向上させることです。「人道憲章と人道対応に関する最低基準」は、多くの人々と援助機関の経験に基づき作成されたものであり、特定の援助機関の見解のみを示したものではありません。(2011年スフィア・プロジェクト日本語版参照)