執行委員会は、
住民の大規模な非自発的避難の根本原因が複雑で相互に関連し、かつ、重大な人権侵害(武力紛争下における人権侵害を含む。)、貧困と経済的混乱、政治的紛争、民族的ないし共同体間の緊張、及び環境劣化を包含すること、ならびに、国際社会が共同でかつ一体になってこれらの原因に対処する必要があることを認め、
さらに、この関連において、原因の側面が解決の達成にとってきわめて重要であり、難民移動の原因の除去についても国際的に尽力すべきであると述べた、自主帰還に関する結論第40号(XXXVI)を再確認し、難民移動の発生源に対処する直接関係国の十分な政治的意思が難民流出を防止するために不可欠な条件であることを強調し、
高等弁務官に対し、強制的な住民移動の複雑な問題を抱える特定の地域における可能性およびイニシアチブに関する協議ならびに国際的保護を必要とするすべての者に当該保護を提供する目的の達成に関する協議に従事するよう奨励したことを想起し、
当該状況の防止および当該状況への対応が、UNHCRの責務および能力を超える場合があることに留意し、
さらに、国内避難民が依然として自国の領域的管轄の下にあること、ならびに、その福祉および保護についての第一義的責任が当該国にあることに留意し、
非自発的避難が、人的被害に加え、相当な地域内負担を生じさせること、ならびに、地域レベルにおける安全保障および安定にも影響を与える場合があることを認識し、
国際社会による難民および避難民問題に対する包括的アプローチ(根本原因への対処、緊急事態への準備および対応の強化、効果的な保護の提供ならびに恒久的解決の達成を含む。)の望ましさ認め、
- 人々が恐怖のために避難することを強制されない条件を確保し、庇護の制度を支持し、自主帰還に資する条件を創出し、不可欠の人道的ニーズを満たす措置をとり、および、大規模な難民の存在によって最も重い負担を課せられている諸国と協力する各国の責任を強調し、
- 難民の出身国および庇護国におけるプレゼンスおよび活動を通じUNHCRが重要な役割を担う包括的アプローチ(特に、中央アメリカ難民国際会議(CIREFCA)プロセス、包括的行動計画およびモザンビークへの帰還)の価値を再確認し、高等弁務官が、イニシアチブ(すべての主要当事者間の対話を促し、当事者間の意思疎通を促進することを含む。)をとることにより、および、意思疎通の媒介者または経路として行動することにより、自主帰還を促進する責務を課せられていることを想起し、
- 当該アプローチが明らかにするように、原因の政治的次元も包摂する方法で非自発的避難に対処する地域協力の価値を強調し、
- 当該アプローチには青写真はないものの、保護の考慮が解決に向けた全過程を規律すべきこと、および、基準が一貫性をもって適用されるべきことを想起し、
- 各国に対し、相互におよび国際組織と調整しおよび協力して、適用可能な場合には、保護に基礎を置く包括的アプローチの採用を特定の避難の問題について検討するよう奨励し、当該アプローチの主要な要素として次の事項を確認する。
- すべての人権(生命、自由および身体の安全に対する権利、拷問およびその他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いまたは刑罰からの自由に対する権利、自国を離れおよび自国に戻る権利、少数者の保護を含む非差別の原則、国籍についての権利を含む。)の保護
- 国家の法的および司法的能力の養成を通じた法の支配の促進
- 庇護制度(基本的なノン・ルフールマン原則を含む。)の尊重、および、国際的保護を必要とするすべての者への当該保護の確保
- 国際的連帯および負担配分を強化する措置
- 長期にわたる持続可能な発展の支援
- 国家的能力を強化することによる発展のアプローチの救済段階への統合
- 帰還の持続可能性を支えるリハビリテーション、再統合および再建措置の支援
- 難民および移民問題に関する意識を喚起し、特に外国人排斥感情および人種差別に対抗する、受入れ国および出身国双方における広報活動
- 住民の避難を引き起こす場合がある紛争の発生を回避しまたは減らすためのメカニズムの設置および醸成
- 必要でかつ可能な場合には、特に紛争後の状況において、解決策の永続性を確保する和解措置
- 出身国および庇護国双方における平和および人権教育(コミュニティ・レベルにおけるものを含む。)
- また、UNHCRに対し、包括的アプローチの定式化に際し支援および専門知識を提供し、ならびに、当該アプローチの適否および実現可能を一層体系的に検討する諸国を支援するよう招請する。
*1国連総会文書No.12A(A/51/12/Add.1)に含まれている。