フセイン(34)はシリアで精肉店を営んできました。しかし、2012年末に生まれ故郷であるシリア南部のダラアで戦闘が激化したことで、妻子と共にヨルダンへの避難を余儀なくされました。避難後、約8万人のシリア難民が身を寄せるザータリ難民キャンプで暮らし始めました。ところが、難民は正規の仕事に就くことができず、キャンプを離れる許可が必要なことを知り、落胆したといいます。
ヨルダンは65万人以上のシリア難民を受け入れており、うち30万人が就業年齢の若者です。これまで難民の労働者は、非正規の仕事で劣悪な環境に耐える必要がありました。しかし2016年にヨルダン政府がシリア難民の就労許可規則を緩和したことで、農業、建設、繊維、食品分野で働けるようになりました。
政府は20万件の就業機会を約束しており、今年はすでに就労許可書3万件を発行しています。さらに、キャンプ外での正規就労と最大1ヶ月の外出を認める規則を施行しました。この規則に伴いUNHCRと国際労働機関(ILO)は、就職や就労許可を相談できる職業紹介所を開設しました。
UNHCRは、求人内容と難民の技能を結ぶ支援をしています。スーパーマーケットから精肉店の求人依頼を受け、フセインが推薦されました。彼は試験を振り返り、「肉の切り身の名称をアラビア語と英語の両方で説明できたことが試験官に響いたようです」と語っています。
合格後に衛生管理や接客の訓練、さらに住居と旅費の支援を受け、「本物のプロ」として接してくれることで自分自身も変わったと実感しています。家族と離れるのはつらいことですが、「今は心の安定と自信を取り戻して家族との関係はずっとよくなり、父親として子どもにもっていてほしいものを与えることができます」と暮らしの改善を喜んでいます。
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