2011年は、国連で1951年『難民の地位に関する条約(難民条約)』が採択され60周年、日本が難民条約に加入して30周年の節目の年である。この記念の年に日本で初めて、国会の場において難民の保護と難民問題の解決策へ向けた継続的な取組みに関する決議案*¹が採択された。
この決議は以下2点において高く評価できる。1)衆参両議院のすべての議員による全会一致の賛成であったことは、国会レベルにおける難民問題への意識の高まりを示すものである。2)難民条約採択60周年を記念して世界で初めて、日本の国会で決議が採択されたことは、難民保護及び人道支援についての日本のリーダーシップを再表明する公約となる。
この国会決議の発議者でもある逢沢一郎衆議院議員(UNHCR国会議員連盟 事務局長)は、「日本が難民条約に加入して30年、国際社会の一員として懸命に取り組んできた。この決議によって包括的な法制度の確立、対外的に難民・避難民への支援を強化・継続を表明する。国権の最高機関、国会で全会一致の賛成で決議されたということは、国会議員の決意であると同時に、日本政府の決意であり、国民の決意といっても過言ではない」とその強い意志を表明した。
先月来日したアントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、「東日本大震災という悲劇に見舞われながらも立ち上がる日本人の復興への力強い決意と勇気を称えたい。日本政府と日本の国民は震災からの復興が最優先課題である中、世界の他の地域で発生している人道危機を忘れることなく、UNHCRに対しては過去最高額となる財政支援を実現した。その上、国会でも難民保護の決議を掲げられたことは、日本が継続して取り組んでいる人道行動への崇高な決意を改めて示すものだ」、と今回の決議への感謝の意を表した。
来る12月7日から8日に、スイス、ジュネーブの欧州国連本部にて、難民条約採択60周年を記念して閣僚会議が行われる。加盟国による難民保護、支援強化に繋がる誓約表明が予定されている。このたびの国会決議を受け、日本政府からの誓約への一層の期待が高まる。
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