ローマ/ジュネーブ、5月22日発、
国連世界食糧計画 国連難民高等弁務官事務所 共同プレスリリース:
国連世界食糧計画(WFP)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は合同で、マリ国内の紛争から逃れ近隣諸国に流入した数十万人の難民に食糧を供給するための緊急支援活動を開始した。
「我々はUNHCRと共に、食糧や住居の提供を早急に必要としているマリ難民の支援に乗り出している」とアーサリン・カズンWFP事務局長は語った。「マリ難民は国内紛争を逃れた後も、その避難先の近隣諸国で発生している大規模な干ばつと食糧危機に直面している。」
これまでに、WFPはマリ、モーリタニア、ブルキナファソ、ニジェールの国内避難民および難民に食糧支援を行ってきた。これはサヘル地域全域に対する緊急支援活動の一部で、この緊急支援活動では全体で960万人近くに上る人々への支援を目指している。サヘル地域の切迫する食糧危機は、治安の悪化や干ばつ、穀物不足、食糧価格の高騰が引き起こした複合的な問題だ。
WFPは、今年新たに30万人の国内避難民および25万5千人の難民を対象とした緊急支援活動を展開する予定。複雑かつ日々推移する難民問題に柔軟に対応することが期待されている。UNHCRは、7,700万米ドル規模が想定される当緊急支援活動でWFPの主要パートナーとして協力する。
「サヘル地域は干ばつと内紛による強制移動という最悪の組み合わせに苦しんでいる。これは非常に深刻な人道問題なだけでなく、世界の安全保障にとっても脅威となっている」とアントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は語った。「人道支援を展開するために、ドナーの協力は必須だ。」
UNHCRはニジェールやブルキナファソ、モーリタニアで数万人のマリ難民の支援を行っている。この難民は、家畜を伴い避難したものも多い。UNHCRは難民やホスト・コミュニティーのために井戸を掘削するのに加え、難民キャンプの設営を行っている。マリ国内においても、UNHCRはパートナー機関と協力し国内避難民の支援を行っている。
マリ難民の流入は、サヘル地域の深刻な大規模食糧危機を更に深刻化させている。すでに多くの人々が飢餓や栄養失調によって命を落としているサヘル地域にとって、マリ難民の流入は弱者や食糧不足に悩むコミュニティには負担となるためである。マリ難民の流入によって雑草を食べざるを得ない人々も出てきている。
350万人いる子どもや妊婦、養母の重度の栄養失調の予防と治療も、サヘル地域全域への支援活動の柱となっている。小収穫時の食糧不足は、平時でも栄養失調率が高い地域においては、重度の栄養不足や乳児死亡率を大幅に引き上げるためだ。
「時間は待ってくれない。食糧または現金による支援が早急に受けられない限り、6月から9月の小収穫期に向けて十分な食糧を確保し、配給することができなくなる。これは言うまでもなく最も支援を必要としている弱者や食糧不足に喘ぐ人々に悲劇的な結果を招く。影響を受けるのは特に女性や子どもたちだ。」とカズンWFP事務局長は加えた。
小収穫期に向けて960万人を対象に強化されるWFPの緊急支援活動は、3.6億米ドル近くの追加資金援助が受けられない限り、活動計画の大幅な修正を迫られる恐れがある。