ジュネーブ(5日)発
UNHCRの親善大使であるアンジェリーナ・ジョリーは、パートナーのブラッド・ピットとともに5日、ボスニア・ヘルツェゴビナの、国内避難民や帰還民を訪問した。ジョリー親善大使の訪問はこのバルカンの国を荒廃させた戦争の終焉から14年目にあたる。ジョリー親善大使は、11万3千人もの家を追われた人々や、クロアチアから逃れてきた7千人の難民の苦境にたたされている現実を訴えるため、自身の最新の映画撮影を一時中断し、ボスニアを訪れた。人々は未だ避難所としての避難センターに住み、多くは悲惨な状況におかれている。
ジョリー親善大使はゴラジュデ(Gorazde)の町の老朽した避難センターで、少ない支援と強い無力感に圧倒されながら生活している避難民を訪ねた。その後、ヴィシェグラード(Visegrad)近郊の村に移動、別の家族を訪問し、紛争中もっとも残虐な行為が行なわれた地域への帰還について話しあった。
ジョリー親善大使は「彼らからは強い感銘を受けた。不安定な生活で極めて厳しい現実に直面しながらも、子どもたちによりよい未来を与えようと確固たる信念を持っている」と述べた。さらに、ローガツィカ(Rogatica)の町へ移動し、水道など公共設備にも事欠く避難センターに住む人々を訪問した。
紛争が勃発した1992年から1995年にかけて、220万人々が避難を余儀なくされた。避難することにより人々の生活は崩壊し、今日でも多くの人々が苦難を強いられている。ジョリー親善大使が面会した何人かは、レイプや拷問などのおぞましい苦痛を耐え抜いてきた経験を語った。ある女性は「私には肉体としての身体はあるが、魂はもはやなくなってしまった」と語った。
「避難民の人々に会って話を聞いた今、最も弱い立場にある人々のあたりまえの幸せに焦点を当てることの必要性を強調はせずにはいられない」とジョリー親善大使は訴え、「私たちは、避難生活を終わらせ、質の高い生活を確保することで、発展や長期的な安定を促す手助けができる」と主張した。
UNHCR職員との対話で、ジョリー親善大使はこの問題解決への計画を知り、「私は、残された何万人という避難民への解決策を見出さない限り、現代史におけるもっとも悲惨な出来事の幕を引くことはできない」と賛同した。今回の訪問は短期間であったものの「また近いうちにこの美しい国を訪れ、政策決定者たちと大いに必要とされる解決策について、さらなる話し合いの場を設けたい」と展望を語った。また将来を見据え「現在ボスニア・ヘルツェゴビナは、避難民問題を終結させることで前進する機会を得ており、またEU加盟の過程においてもよりよい後押しとなるだろう。その実現のために決断を下す最終的な責任は、地域の指導者たちにかかっている。」と述べた。
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