【ユスラ・マルディニ】
シリア出身のユスラ・マルディニ(18歳)。水泳女子100メートル自由形/100メートルバタフライ。
ユスラはシリア紛争から逃れ、トルコからボートでギリシャのレスボス島へと渡りましたが、途中ボートのエンジンが故障。唯一泳ぐことが出来たユスラと姉の2人が海に飛び込み、3時間半かけてボートを沿岸まで導きました。乗っていた人は全員無事だったそうです。
「どんな困難も、嵐のような辛い日々も、いつかは落ち着く日が来る。難民になっても、夢や、やりたいと願っていたことをあきらめないで欲しいと伝えたいです。夢を追い続ければチャンスが舞い込んで来ることもあるし、自分自身でチャンスを作り出すことも出来るんです」
▶ ユスラについてくわしくはこちら(英語)
【ポポル・ミセンガ】
コンゴ民主共和国出身のポポル・ミセンガ(24歳)。柔道男子90キロ級。
ポポルがまだ小さい時、故郷コンゴ民主共和国で戦闘が起こり、避難を余儀なくされました。逃れる際に家族と離ればなれになり、たった1人で1週間以上森の中で身を潜めました。その後施設で避難生活を送りましたが、そこで出会ったのが柔道でした。
「幼い頃は色々なことを教えてくれる家族が必要です。でも私には家族がいなかった。その代わりに柔道がありました。平常心や規律、そして何かに熱中するということ・・大切なこと全てを柔道から学びました」
ポポルは今ブラジルでオリンピックに向けてトレーニングを続けています。
「難民に希望を与える、オリンピック出場をそんな機会にしたい。メダルをとって全ての難民に捧げたいです」
【ラミ・アニス】
シリア出身のラミ・アニス(25歳)。水泳男子100メートルバタフライ。
水泳が得意だった叔父の影響を受け、14歳で水泳を始めました。アレッポでの戦闘が激しくなり、兄を頼ってトルコのイスタンブールに避難した後も、スポーツクラブに通い水泳を続けてきました。
「トルコ国籍のない僕は、いくら練習しても試合に出ることはできませんでした。それはまるで、受ける予定のない試験に向けて、毎日必死に勉強しているようなものです。プールは僕にとって、居心地の良い家のような場所です。そして水泳は、僕の人生そのものなんです」
ラミはボートでトルコからギリシャに渡り、そこから歩いてベルギーにたどり着きました。オリンピック出場が決まった今は週に9回トレーニングに励んでいます。
「僕の力を全て出し切れば、最高の結果を得られると確信しています。オリンピックの舞台が、楽しみで仕方ありません!」
【ローズ・ナティケ・ロコニエン】
南スーダン出身のローズ・ナティケ・ロコニエン選手(23歳)。陸上女子800メートル。
ローズは10歳で南スーダンの紛争を逃れケニア北部の難民キャンプで避難生活を送っていました。ローズが自分に陸上の才能があることに気がついたのは、学校の先生のすすめで初めて10キロ走のレースに出場した時。何とローズは人生初めてのレースで2位に入賞したのです!
それから一年足らずで、ローズはオリンピックへの切符を掴みました。現在はケニアの首都ナイロビに移り、本番に向けトレーニングに励んでいます。
「今私にできることは、一生懸命練習して本番で自分の力を出し切ることだけです。リオでは、支えてくれるすべての人々の想いをのせて走ります。私の走りを通して、周りの人に勇気や希望を与えたいです」
【ヨナス・キンド】
エチオピア出身のヨナス・キンド(36歳)。男子マラソン。
今はルクセンブルクで毎日トレーニングに励んでいます。
「エチオピアはとても危険で、これ以上ここでは生活できないと思ったんだ。オリンピックに出場することが決まってからは、いつもの倍トレーニングをしているからどんどん強くなっている気がする。オリンピックに出ることによって、難民であっても能力は発揮できるということを伝え、今避難している皆の励みになればと思う」
【アンジェリーナ・ナダイ・ロハリス】
南スーダン出身のアンジェリーナ・ナダイ・ロハリス選手(21歳)。陸上女子1,500メートル。
アンジェリーナは6歳で南スーダンを逃れ、ケニア北部の難民キャンプに避難しました。その際に両親と離ればなれになり、それ以来、消息は分かっていません。「生きている」と言う噂を耳にしたものの、故郷で安全に暮らせているのかとても心配しています。
「今回のオリンピックで良い結果を残して、今後も賞金の出る国際試合に呼んでもらえるような選手になりたいです。お金があれば、人生は今よりももっと良い方向に変えられるかもしれない。最初の賞金で、お父さんに家を建ててあげたいんです」
【パウロ・アモトゥン・ロコロ】
南スーダン出身のパウロ・アモトゥン・ロコロ選手(24歳)。陸上男子1,500メートル。
南スーダンで家畜の世話をしていたパウロは、故郷以外、外の世界を何も知らずに育ちました。しかし数年前、紛争を逃れケニアの難民キャンプへ避難。、その難民キャンプで卓越した運動能力を開花させ、難民選手団のコーチの目に留まったのです。
競技用の靴を履いたこともなくゼロからのスタートでしたが、練習を積み重ね、夢の舞台・リオへの切符を手にしました。
「僕は難民の代表として走ります。テレビやフェイスブックを通して、自分の勇姿を難民キャンプにいる仲間に届けたいです。そして良い結果を残して、家族や友人に恩返しがしたいです」
【ヨランデ・マビカ】
コンゴ民主共和国出身のヨランデ・マビカ選手(28歳)。柔道女子70キロ級。
ヨランデは幼い頃紛争から逃れる際、両親と離ればなれになりました。1人でいるところを発見され、保護された施設で出会ったのが柔道だったと言います。
「家族と離ればなれになってから本当によく泣いていました。そんな私の心を強くしてくれたのが柔道です。オリンピック出場は私にとって人生を変えてくれる大きなチャンスでもあります。私の活躍が伝えられ、離ればなれになってしまった家族と再会できることを願っています」
【ジェームス・ニャン・チェンジェック】
南スーダン出身の ジェームス(28歳)陸上男子800メートル。
誘拐され、強制的に少年兵にされるという状況から逃れるため、13歳の時にケニアへと逃れました。初めて学校で陸上競技に参加した時「自分はランナーになれるかもしれない。もし才能が与えられているのなら、活かさなければ」と思ったといいます。
最初は靴を持っていなかったので、友達から借りて競技に臨んでいました。たとえどんな靴を履いていようとも、ジェームスが負けることはありませでした。「私が早く走ることが、難民を助けることになると感じていました。難民は多くの才能を持ちながら、それを活かすチャンスに恵まれません。今年のオリンピックでは、そんな難民にチャンスが与えられました。これまでの人生を思い返し、それを自分の強さに変えたい。難民がより良い人生を送れるように願って、私は走りたい」
【イエーシュ・ピュール・ビエル】
南スーダン出身のイエーシュ・ピュール・ビエル選手(21歳)。陸上男子800メートル。
イエーシュは2005年に南スーダンを逃れ、ケニア北部の難民キャンプに避難しました。
難民キャンプには、トレーニングするために充分な設備はなく、靴も持っていませんでしたが、走ることに目覚めたイエーシュは諦めませんでした。
「僕にはまず、祖国・南スーダンを再建するという使命があります。そのためには、若い世代の力が必要です。そして両親には、もっと良い暮らしをさせてあげたいです。オリンピックの舞台で走ることで、自分と同じ境遇にある難民に、人生は変えられるというメッセージを送りたいです」