ヨルダン、アンマン 1月14日、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、深刻な貧困に陥っているシ […]
ヨルダン、アンマン
1月14日、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、深刻な貧困に陥っているシリア難民についての新たな報告書を受け、シリア難民と、シリア難民の受け入れ国への資金支援を訴えた。
UNHCRの報告書(Living in the Shadows)によると、ヨルダンに避難したシリア難民の3分の2が国内貧困ライン 未満の生活をしている。また、6人に1人が、1日1.3米ドルという厳しい貧困状態の中で暮らしている。この生活実態調査は、ヨルダンのキャンプ 以外で暮らす、シリア難民15万人から収集したデータに基づく。
「支援活動は行っているが、ヨルダンやレバノンなどシリア周辺国で避難生活を送るシリア難民全員が尊厳のある生活を送ることが出来ない状態だ。」と、グテーレス高等弁務官は語った。「シリア難民は二重の危険にさらされている。彼らは終わりの見えないシリア紛争の犠牲者であり、それが生み出す絶望に苦しんでいる。さらに避難先で厳しい貧困状態での生活を余儀なくされている。」
シリア危機はまもなく5 年目 に突入する。報告書によると、避難生活の長期化により、生活基準の悪化を受け、大部分のシリア難民が支援物資に頼って生活しているという。調査を行った全世帯のうち、半分近くに暖房が無く、4分の1の世帯に電気が通っていない。また、20%の世帯で水まわりが整備されて いないという。先週、中東地域で猛威をふるった冬の嵐は、降雪と氷点下の気温、避難所の損害をもたらし、シリア難民の悲惨な生活状況に拍車をかけた。
グテーレス高等弁務官は、ヨルダンの首都アンマンで生活しているシリア難民ムハンマド一家を訪問した。ムハンマドの世帯は、現金支援として毎月受け取る140米ドルのうち、98米ドルを崩壊しそうなアンマンのアパートの家賃に充て、残りを電気代とガス代に充てている。国連WFP(世界食糧計画)がそれ以外のすべての生活費を支援している。
ムハンマドには3人の子どもがいるが、そのうち2人が障害を持っている。しかし、医療支援を受けられるのは、そのうち1人だけである。「治療費が高額であるため、子どもたち全員に治療を受けさせることができません」とムハンマドは語った。「私は子どもたちを心から愛しています。今より良い治療を受けることができたらと強く願っています。」
UNHCRが難民登録したシリア難民は380万人であり、1200万人がシリア国内で支援を求めている。昨年12月、国連機関とパートナー団体 は、シリア難民、国内避難民の支援のために、84億米ドルを超える予算が必要であると表明した。
グテーレス高等弁務官は、国際社会による支援が追いついていない人道危機に警鐘を鳴らし、難民と難民の受け入れ国に対する支援を要請した。「今年どの程度の活動資金が集まるかはまだ分からない。昨年は集まった活動資金が予算額の半分であったが、今年はそれよりも上回ることを強く望んでいる」と語った。また、資金不足は、数百万人にも上るシリア難民に深刻で多大な影響を与えるだろう、と述べた。
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