2月24日UNHCR eCentre主催、UNHCR駐日事務所、及び国際協力機構(JICA)共催でシンポジウム「紛争が終わって:平和構築と人道行動の今日的課題」を国連大学エリザベス・ローズ・ホールで開催した。平和構築と人道行動の相関性や課題を国内の実務者、学者、専門家の方々、さらに海外の専門家の方を招き、活発な議論が交わされた。
まず、開会の辞としてマイケル・リンデンバウアーUNHCR駐日代表が歓迎の挨拶を行い、次に緒方貞子JICA特別フェロー (第8代国連難民高等弁務官)が登壇された。緒方氏は2015年はミレニアム開発目標にむけて設定された節目の年であることに触れ、人道と開発の両分野が相互理解を深めることによって更に連携していくことの重要性を語った。
シンポジウムでは7人のゲストスピーカーがそれぞれの専門分野についてのプレゼンテーションをおこなった。
<紛争後の平和構築について>
まず、上杉勇司教授がそもそも「平和構築」とは何を指すのか、紛争後にどのように語られて来たかなどについて説明した。さらに人道的活動と平和構築双方においてサステナビリティ(持続可能性)がキーワードになることにも触れた。次にアイリーン・チャンUNV(中国)カントリー・プログラム・オフィサーが、気候変動や経済変動といった様々な要因に対応しながら平和構築を推し進める難しさに触れ、アフガニスタンやチャドなどの具体的な活動例を紹介した。
<人道支援活動と平和構築における可能性と課題>
実務者の視点から高嶋由美子UNHCRアフガニスタン事務所副代表は、依然として紛争が続くアフガニスタンで人道援助と開発の線引きの難しさ、またパキスタンからの難民、国内避難民、帰還民が混在するアフガニスタンにおける活動の難しさを具体例をあげながら説明した。続いて落合直之JICA社会基盤・平和構築部参事役は、平和の促進と、紛争の発生・再発の予防に貢献できるように取り組むJICAの活動を紹介した。特に紛争中とその直後に人々が直面するさまざまな困難を緩和し、その後の中長期にわたる安定的な発展を目的とした協力を行なっていることが強調された。
閉会の辞として花谷厚JICA上席研究員がこの日の議論を総括し、人道支援を伴う緊急対応から復旧・復興までの継ぎ目のない支援のために、人道・開発関係者間で相互理解を深め、共に連携しようと締めくくった。
最後にシンポジウムを主催したeCentreを代表し、サマンサ・ニューマンeCentreコーディネーターが参加者への感謝の意を述べて閉幕した。
「紛争が終わって:平和構築と人道行動の今日的課題」ワークショップ
シンポジウム開催の翌日(2月25日)にはワークショップがおこなわれ、人道や平和構築に携わる実務者が参加した。この日はシンポジウムの内容を踏まえ、紛争後の人道行動と平和構築をいかに効果的に行なうかについてより実践に即した形で議論された。参加者からも自身の経験に基づく提案や積極的な意見交換が行なわれた。
(写真:©UNHCR)