アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は4月24日、国連安全保障理事会で中東での人道危機がこれ以上 […]
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は4月24日、国連安全保障理事会で中東での人道危機がこれ以上拡大する前に国際社会は最善を尽くさねばならないと訴えた。
グテーレス高等弁務官は「中東での危機は、周りに悪影響を与えながら拡がっていく病気のようなものだ。このままだと制御不能になり、世界規模の危機に発展してゆく可能性がある。現在シリア、イラクでの紛争により1400万人が家を追われれており、周辺国への危機が高まっている。その結果、紛争から逃れたシリア人の保護がより困難になって来ている」と述べた。
多くの犠牲者を出している地中海での事故、10代の子どもの労働や早期結婚、売春など、難民の置かれた状況は悪化している。
グテーレス高等弁務官は政治的解決が不可欠だとした上で、国際社会が取り組むべきことについて述べた。1つ目は難民と難民受け入れコミュニティへの支援や、地中海での事故への対策など、より緊急度の高い事項を特定し取り組むこと、2つ目は周辺国への支援の重要性、そして3つ目は難民の自主的帰還を視野に入れた支援のあり方である。特に3つ目については、難民が支援に頼るのではなく、受け入れコミュニティの発展に貢献しつつ経済的に自立するための支援を提案した。
グテーレス高等弁務官とともに安全保障理事会に同席したアンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使は、シリア難民が避難しているイラク、ヨルダン、レバノンなどを過去11回にわたり訪問している。
ジョリー特使は「シリア難民の声を代弁し、国際社会に3つのことを訴えたい。1つ目は国際社会が団結すること。安全保障理事会はシリア難民に対する責任を果たし、正義をもたらす形で紛争を終結させる役割を担う時だ。2つ目は周辺国への支援の重要性を再度訴えたい。紛争を終結させられないのなら、私たちは難民に手を差し伸べ、庇護を可能にする法整備を整えるという道徳的義務がある」と訴えた。
さらに組織的な性暴力が横行していることに触れ、「このような犯罪を国際社会が深刻に捉えているというメッセージを送るべきだ。特に今後の和平交渉においてシリアの女性の声がしっかりと伝えられるべきである」と述べた。
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