2014年2月12日 中央アフリカ共和国、ボサンゴア ゼナブは囚人になったような気持ちだった。対立 […]
2014年2月12日 中央アフリカ共和国、ボサンゴア
ゼナブは囚人になったような気持ちだった。対立する「セレカ(イスラム系の反政府組織)」と「反バラカ(キリスト教系民兵組織)」の衝突の激化に伴い、ゼナブは7人の子どもを連れボサンゴアの自宅から避難所となっている学校(リバティースクール)へ多くの家族と共に逃れた。
この勇気ある女性が恐れているのは、武装した集団が宗教を理由に一般市民を攻撃していることだ。「ボサンゴアではこれまでイスラム教徒とキリスト教徒が共に暮らしてきた。これからもそうあるべきだ。このままではこの町はアイデンティティを失い、魂そのものがなくなってしまう。」と強く訴えるゼナブの言葉は、およそ84万人が国内避難民となった多文化共生コミュニティに生きる人々の思いを代弁している。
昨年12月、「反バラカ(キリスト教系民兵組織)」の兵士がイスラム教徒の市民を襲い始めてからおよそ1000人がボサンゴアから避難した。その多くが周辺地域や隣国のチャドに逃れたが、リバティースクールにとり残された225世帯のイスラム教徒の家族が保護を必要としている。また、全国でこのような状況が繰り返されており、数万人が避難し危険が高まる中、自宅にとどまる市民もいる。
UNHCRは中央アフリカの人道的危機の悪化に危機感を募らせており、ボサンゴアの避難民の身の安全を案じている。UNHCRは年明けから定期的にリバティースクールとボサンゴアのカトリック教会に避難する市民を訪ね、和解に向け働きかけてきた。こうした努力によって、双方の宗教グループが対話の機会を持ちたいと希望するに至った。
しかし今でも反バラカの兵士や暴漢が周辺をうろつき、学校内に避難している家族に向かって脅しの言葉を浴びせるなど暴力行為は続いている。平和維持軍の兵士やUNHCR、カトリック救援サービス(Catholic Relief Service)の存在が民家への侵入などを防いでいるが、周辺住民は日々恐怖と隣り合わせで暮らしている。「私たちは国際社会の一員としてこの人道危機を目の当たりにしている。国際社会は人々を団結させ、解決の糸口を見つけ、このような状況の悪化を防ぐ重要な役割を担うことが出来る。」とジョゼップ・サパテルUNHCR首席保護官は訴えた。
過去に二度の避難生活を経験しているゼナブは「私たち家族にとっても苦しい時だったが、他の避難民との強い絆が生きる希望を与えてくれた。」と思い返す。同じ境遇にある避難民が協力しあい、友情が希望を生む一方で、平和と有効な統治を取り戻すべく国際社会が団結しない限り、手遅れになる危険がある。
しかしゼナブは決してあきらめないという。「ボサンゴアは今までも、これからもずっと私の帰るべき場所だ。」と話した。
くわしくはこちら(英語)