ゲンドラッサ難民キャンプに住む13歳のモハメド・ジャファーは、食糧不足に苦しむ家族を助けるために食用の木の葉や枝などを集めて一日を過ごす。
キャンプのあるマバン郡には食用になる葉が茂るラロップという木や、ナツメヤシの木が点在する。子どもたちが木に登って枝を折り、年下の子どもたちが落ちてきた枝から葉や木の実を収穫する。南スーダンには4つの難民キャンプがあるが、このように学校よりも食糧確保を優先せざるを得ない子どもは数千人いる。
モハメドの母親は毎週ソルガム(トウモロコシ)やレンズ豆、また調理用油の配給を受けているが十分な量ではないため、野生の木の葉や根、そして木の実を食べて不足分を補っている。食用の植物を集めるために学校に行っていない子どもが多いことを受けUNHCRは地域の指導者に子どもたちの就学率について問い合わせているが、明確な回答は得られていない。
モハメドは木の葉を集めることに午後の大半の時間を費やすという。一家の食糧を確保するため、モハメドの5人の兄弟(2歳から12歳)も同じように働かなくてはならない。モハメドが痩せ細った身体で集めた木の枝は、後で母親が調理するという。
この地域に多く生息するラロップの葉は食べることが出来るが、小さな子どもたちは体調を崩す場合もある。
このキャンプに住むオスマン・ディファラは、これまで教育の大切さを伝えてきた。「私たちもこの状況を決して良く思っているわけではない。しかし食糧がなければ子どもたちは学校に通うことが出来ない」と、現在の厳しい状況について語る。
高さ20メートル以上もあるラロップの木から落ちれば、大事故につながる危険性がある。最近8歳の子ども2人が木から落ちて命を失った。また、より高いところにある葉を採ろうとして怪我をする子どももいる。
ディファラの証言によると、難民の中には危険の残る地域にある自宅へ子どもを送り、畑の世話をさせる者もいるという。
UNHCR教育担当官によると、食糧不足による就学率の悪化はマバン郡にある4つの難民キャンプで深刻な問題になっており、「今年2月から就学している子どもの数が3万人から2万人に落ち込んだ」と説明した。
教育担当官は、これまで教室に使われる建物の改善や、文房具や教科書の支給、教師の教育、英語クラスの普及、また制服の支給などの支援を行ってきた。教育担当官は、「食糧不足が就学率低下を引き起こしている。これでは子どもたちに技術や能力を身に着けてもらおうという私たちの目標を達成することは出来ない。状況を改善することが出来なければ、これまでの努力は水の泡になってしまう」と説明した。
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