ハルキフの駅では何十人もの疲れきった人々が、構内のベンチで足を投げ出して眠っている。ウクライナ東部での対立から逃れてきた避難民だ。ハルキフの駅ではUNHCRの職員とボランティアが、避難民からの相談に乗り、食糧を渡している。
リウバは心から助けを求めている1人だ。3週間前、ウクライナ東部ドネツクにある彼女のアパートにミサイルが降り注ぎ、怪我をした。
「ミサイルが当たった瞬間に逃げ出しました。家が倒壊し始め、割れた窓ガラスの破片が雨のように降ってきました。散弾で足を負傷し、ミサイルの衝撃波で目をやられました。左目は視力を即座に失い、残った右目も視界がかすむようになりました。」とリウバは言います。
リウバと夫と母親の3人は、紛争地域を逃れるため、貯金のほとんどをつかって車を借り電車の切符を買った。3人のような国内避難民は30万人を超えている。公式な数字では30万であるが、UNHCR職員は現実には2倍から3倍の数の国内避難民がいると考えている。
リウバの試練はまだ終わっていない。目の手術を受けたいと望むリウバはハルキフで3日過ごした後、遠く離れたオデッサにて手術を受けた。しかし手術の結果目が回復するかは、1ヶ月様子をみなければならない。
目の回復を待つ間、リウバと夫ニコライは数百ドルの手術代を工面する方法を探っている。地域の保健機関によるとリウバは手術を受ける前に申請しなかった為、手術費の補助を受けられないという。帰る故郷もなく、借金を抱えたリウバは打ちのめされている。
「電車がないので故郷に帰ることはできないし、たとえ帰ったとしてもガスもなく、窓は壊れているから暖もとれない。冬をどう過せばいいの、ひどい状態よ。どうしたらいいのか分からない、不安で夜も眠れません。」
アンドリセックUNHCRウクライナ事務所代表は、多くの人々がリウバと同じ苦境の中にいると語りながら、数ヶ月前の停戦時を振り返り、決して平和と安定が訪れたわけではないが、「それでも、人々は戻ろうとするだろう。」と述べた。
激しい戦闘地域となったスラビャンスクからの長距離バスで、故郷に向かう人は「ここ数週間は静かだった。もちろん発砲はあるさ、でも前よりもずっと静かになったよ。」と語った。
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