スイス、ジュネーブ
10月31日、UNHCRはここ数週間で何千人ものナイジェリア難民が避難しているナイジェリアとカメルーンの国境地帯の治安が悪化していることに深い懸念を示した。
UNHCR報道官ウィリアム・スピンドラーは、ここ数日間、ナイジェリアの反乱組織が国境を越えてカメルーン北部への襲撃を繰り返しており、国境付近の危険な地域から120キロほど離れたミナワオ難民キャンプへの難民の移送を妨害していると語った。
10月24日、カメルーンの村コボーグで反乱組織とカメルーン軍が衝突し、5人の民間人が巻き込まれて死亡した。カメルーンの市民は止むことのない反乱組織の襲撃に怯えて暮らす日々を送っており、ナイジェリア難民は一刻も早く国境地帯からミナワオ難民キャンプへ移送されることを望んでいる。
スピンドラー報道官は反乱組織がナイジェリア北東部の国境付近の町や村を占拠したことにより、カメルーンへ安全にたどり着くことが非常に困難になってきていると語り、難民は徒歩で荒廃した密林地帯を越え、川を渡ってカメルーンに避難して来ると話した。多くの難民がトラウマを抱えており、中には反乱組織に追われ、大切な人を目の前で殺されたという人もいる。
国境付近の治安は悪化の一途をたどっているが、UNHCRは地元政府と協力し、難民600人迅速な移送に取り組んでいる。過去2ヶ月で人口が約3倍になったミナワオ難民キャンプには、現在1万6200人を超す難民が避難している。キャンプの最大収容人数は3万5000人だが、国境地帯から移送されてくる難民を受け入れるため、拡大工事が進んでいる。スピンドラー報道官は、生活するのに最低限必要な施設やサービスがキャンプに整っていないとし、UNHCRはパートナー団体の支援を受け、キャンプ内の生活環境改善に取り組んでいると語った。
ミナワオ難民キャンプでは新たに1370世帯分のシェルターが設置されたが、依然として9000人が共同の避難場所での生活を余儀なくされている。キャンプ拡大のための新たな土地がカメルーン政府によって提供されているが、農作物の収穫の時期に当たっているため、収穫後に建設が開始される予定だ。
また、難民キャンプの子どもの数の増加を受け、教育支援が強化されている。UNHCRは、今までに一度も教育を受けたことのない大人が文字の読み書きを習い、職業訓練を受けられるよう現地の団体と対話を始めた。
スピンドラー報道官は、コレラ流行地域の人口が突如として増えたことにより、水とトイレを提供することが最大の課題になっていると語った。キャンプで生活する難民は、毎月国連WFPから食糧配給を受けており、多くの人がキャンプ周辺の土地で農作物の栽培を始めた。深刻な栄養失調に陥った難民の数は減少し、全体としての健康状態は安定しつつある。
ナイジェリア難民の流入を受けて、カメルーンの首都ヤウンデと北部にあるマルアのUNHCRの事務所が支援活動を担っている。
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