ブダペスト 1月27日
故郷のソマリア首都、モガディシュから逃れた青年アブドゥルラフマン*は、ヨーロッパに到着するまでの間、多くの苦難に耐えてきた。しかしハンガリーの首都ブダペストの経験ほど苦しい状況はないと語る。
「今週は人生の中で最悪の1週間だ。」
若いソマリア難民は凍えそうな手でコーヒーカップを握りしめ、ブダペスト市内で出会ったUNHCR職員に語った。
EUの規則によると、難民認定を受けたものは外国での滞在は最大30日間、許可されているが、定住することはできない。しかしハンガリーに住む多くのソマリア難民と同様、アブドゥルラフマンはこの事実を知らずにいた。イギリスの親戚のもとを訪れていた彼は、ダブリン条約に基づき拘留され、ブダペストに送還された。この条約によると、庇護申請者は申請をした庇護国(通常、ヨーロッパに踏み入れた最初の国)に留まらなければならない。
ブダペストに送還された場合、住居を探すことが困難であるうえ、620ユーロ程の助成金など、いくつかの給付資格を失うことになる。月額100ユーロの給付金を申請することもできるが、許可が下りるまでに時間がかかる。
UNHCRは50人近くのソマリア難民が、野宿またはホームレスのための保護施設での不安定な環境の中にいると推測している。特に冬の間はこうした難民の福祉は深刻な問題となる。UNHCRは先月、ハンガリー政府及び各地域当局に緊急措置を要請した。
ハンガリーで難民認定を受けた後、ソマリア難民の多くは、ブダペスト西部の都市ビチケにて語学研修を含めた支援を最大6か月間受けることができるが、その後、多くはオランダ、北欧諸国、イギリスなどに移ることを決意する。理由として職業訓練、雇用機会の厳しい現状、住居を探すことの困難さ、言葉の壁、人種差別の恐れ、ハンガリーで同じく国を逃れてきた家族と再会することが事実上不可能であることなどが挙げられる。
アブドゥルラフマンが保護施設に入所するためには、身分証、名刺、そして伝染病にかかっていないことを証明する健康診断書が必要となるが、言語能力と時間が必要となる。UNHCRはこのような状況を改善するための支援や働きかけを続けている。
*保護目的のため別の名前を使用
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