世界中で国籍を持たない何百万人もの人々が直面している深刻な不平等を解消するため、100を超える国々、市民団体、無国籍者の団体、学術機関などが協力し、新たな枠組みとして「無国籍ゼロに向けたグローバル・アライアンス」が立ち上がりました。
このグローバル・アライアンスは、UNHCRが10年にわたって実施してきた「#IBelongキャンペーン」を基に生まれ、今月にジュネーブで行われたUNHCRの年次執行委員会で、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が公式に立ち上げを発表しました。
「この10年、UNHCRの#IBelongキャンペーンを通じて、世界は無国籍の課題に対して、確かに前進を遂げることができました。しかし、まだ終わってはいません。すべての人が、どこにいても差別なく国籍を持ち、必要な権利を享受し、社会の一員として参加できるようにしなければなりません」
「今回、熱意あるパートナー団体によって新たに立ち上がったグローバル・アライアンスが、これからこの課題に立ち向かっていくことになります。ビジョンはシンプルです。この世界で、誰一人として国籍に関する基本的な権利を奪われることがないようにすることです。無国籍ゼロは達成可能です。そのために野心的に活動しましょう」
今年の執行委員会は、世界で最も差し迫っている強制移動と人道的課題に焦点を当て、「無国籍に関するハイレベルセグメント」の特別セッションで開幕しました。グランディ高等弁務官は、100以上の政府代表団と50以上の組織を前に、この新しいグローバル・アライアンスは“社会全体で取り組む支援”を体現したものであり、最前線で活動している人々が中心となって活動するものであることを強調しました。
政治的関与が伴えば簡単に解決できる課題として、無国籍ゼロへの呼び掛けに応じる形で、トルクメニスタンはセッション中、国内で把握している無国籍をすべて公的に解決したと発表し、世界でも最近に無国籍ゼロを達成した国であると報告しました。
トルクメニスタンは、この数年で3万2,000人以上の難民と無国籍者に国籍を与え、この成果は強い政治的意思、法改正、国際協力、そして国民の身分証明と登録システムの整備が相まって達成されたものとしています。
グローバル・アライアンスの活動がスタートした今、期待されているのは、さらなる行動と前進です。グローバル・アライアンスを、世界各国、国連機関、市民社会、国際機関、無国籍者の団体から成る15の諮問委員会が率い、UNHCRは任務に沿ってサポートし、事務局を運営しています。
グランディ高等弁務官は、「このグローバル・アライアンスに参加することは、世界への強いメッセージとなります。好事例を共有し、啓発活動を共に行い、この課題に対する解決策を推し進めていく場となります」として、他の国や機関に「この歴史的な活動に共に参加しましょう」と呼び掛けました。