フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が2023年10月18日~20日で訪日し、世界各地で故郷を追われている人々への理解促進と日本とのさらなる連携に向けて、政府、自治体、民間セクターなどと面談を行いました。
今年12月にスイス・ジュネーブで開催される「第2回グローバル難民フォーラム」で共同議長国を務めることが決まっている日本に、国際社会のリーダーとしての役割への期待を伝え、意見交換を行いました。
主な訪問先は以下の通りです(順不同)。
■ 経団連
経団連によるウクライナ危機に対する支援など、日本の民間セクターによる難民支援への感謝を伝えました。「第2回グローバル難民フォーラム」でも、テクノロジーや雇用など、日本の企業ならでは方法を「宣言」として示してほしいと訴え、経団連1%クラブを通じた貢献などについて意見交換が行われました。
■ 田中明彦JICA理事長
難民問題が長期化・複雑化する中でカギとなるのは、JICAとUNHCRが連携して進めている人道・開発・平和の連携。世界各地での難民や受け入れコミュニティへのJICAによる支援は大きな貢献を果たしているとして、今後も連携を深めていきたいと話しました。
■ 村井英樹 内閣官房副長官
バングラデシュやアフガニスタン、アフリカなど、世界各地での戦略的な対応に対する感謝とともに、人道支援と開発援助の両輪での取り組みは日本の強みであるとして、「第2回グローバル難民フォーラム」に向けて、日本のリーダーシップへの期待を伝えました。日本としても、G7の議長国として、国際社会と協調して人道支援の取り組みを進めていきたいとコメントがありました。
■ 小泉龍司 法務大臣
出入国管理及び難民認定法の改正、第三国定住事業、無国籍など日本の保護・支援の取り組みや、「第2回グローバル難民フォーラム」での日本政府の役割について意見交換を行いました。グランディ高等弁務官は「徐々に、そしてダイナミックに、日本が難民保護を拡大し続けていくことを期待する」と伝え、引き続きの建設的な協調を約束しました。
■ 上川陽子 外務大臣
世界各地で人道危機が深刻化するなか、「人間の安全保障」や「人道・開発・平和の連携」など、日本ならではの貢献が重要な役割を果たすとして、日本が共同議長国を務める「第2回グローバル難民フォーラム」に向けたさらなる連携を約束しました。
■ 柳井正 ファーストリテイリング社長
2011年からUNHCRとファーストリテイリングが締結しているグローバルパートナーシップのもと、世界各地で故郷を追われた人々の支援を継続していくことを約束しました。
■ UNHCR国会議員連盟特別会合
世界各地で紛争が起こり、人道危機が広がっているいま、日本としてなにをすべきか、活発に意見交換が行われました。 UNHCR議連会長の逢沢一郎衆議院議員は、国際社会にとって今ほど人間の尊厳、人間の安全保障という言葉を大切にしなければならない時はないと訴え、新たな補完的保護制度を確実に実施し、出身国によってギャップが生じないよう、日本における難民受け入れにもさらに力を合わせて進めていく必要があると話しました。
■ 三村淳 財務省国際局長
日本政府によるUNHCRへの資金援助は、現場で迅速な支援を行ううえで重要な役割を果たしているとし、今後も継続的な支援の必要性を訴えました。 世界銀行や国際復興開発銀行などとの連携による、日本の難民支援への貢献に対する感謝も伝えました。
■ 五十嵐立青 つくば市長
世界的な教育・研究機関が多く集まる市の取り組みについて五十嵐市長より共有。 日本で多様性を広め共生社会を実現していくため、また、気候変動など地球規模課題の解決に向けて、つくば市のノウハウを発揮してほしいと訴えました。
■ 永田恭介 筑波大学長
教育は、難民の未来を切りひらくカギとなる―。 紛争や迫害により多くの若者が故郷を追われ、教育の機会を奪われている現状を共有。 永田学長は、さまざまな環境の学生を受け入れていくことが、教育機関としてできることだと強調しました。
■ 筑波大学 学生との交流会
筑波大学の学生とグランディ高等弁務官の交流会が開催され、 学生を代表して、難民問題について研究している学生、ウクライナ出身の留学生による発表があり、世界の難民情勢や日本の受け入れ、国際機関の役割などさまざまな質問が学生から投げかけられました。
グランディ国連難民高等弁務官は、世界に目を向け、草の根レベルで活動する若者が増えること、日本が人道支援のリーダーとして力を発揮することへの期待が伝えられました。
■ 難民を支える自治体ネットワーク
難民を支える自治体ネットワーク の署名都市の皆さんとの懇談会を行いました。日本で難民とともに多様な社会を実現するためには、自治体の強みを生かした取り組みと啓発活動が大切だと強調しました。今後もこのネットワークのつながりを通じて、自治体との連携を強化していきたいと話しました。
■ アフガニスタン難民の青少年との対話
グランディ国連難民高等弁務官と、関東で暮らすアフガニスタン難民の青少年との意見交換。 その内容は、日本での生活、学校での勉強や友達についてなどさまざまな話題に。 「今皆さんが、新しい場所で一生懸命努力していることは、きっと素晴らしい未来につながる」とエールをおくりました。
■ 日本記者クラブ会見
最終日、訪日の総括を日本記者クラブで行いました。記者会見のレポートはこちら。