超党派で構成されるUNHCR国会議員連盟(UNHCR議連)とUNHCR駐日事務所は、ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官訪日に合わせて特別会合を開催しました。
今回のテーマは「グローバル難民フォーラム(Global Refugee Forum:GRF)」。GRFは2019年から4年に一度開催されている国際会議で、今年12月に第2回がスイス・ジュネーブで開かれ、日本が共同議長国を務めることが決定しています(プレスリリースはこちら)。
今回の会合は、約半年後に控えたGRFに向けて、日本で“社会全体で取り組む難民支援”の機運を高め、具体的な行動につなげていくために、企画されました。UNHCR議連は今年3月にもGRFに関する決議を採択し、会議の成功と難民問題の解決に向けリーダーシップを発揮しています。
その中心となったUNHCR議盟会長を務める逢沢一郎衆議院議員は、2023年は日本がGRFで共同議長国を務める大変重要な年であること、この特別会合を主催国や議長国間での有意義な意見交換の機会としたいと話しました。
続いて、副高等弁務官のクレメンツは、ウクライナ危機をはじめ、シリア、ミャンマー、アフガニスタンなど、日本からUNHCRに寄せられている寛大な支援への感謝を伝えました。故郷を追われた人が1億1,000万人を超えた今、難民問題にどのように対応すべきか国際社会の姿勢が問われており、その意味でもGRFはとても重要な機会になること、UNHCRは“誰一人取り残さない”社会の実現に向けて力を尽くしていくと訴えました。
そして、今回の特別会合には、GRFの共同主催国、共同議長国も出席し、次のようにコメントしました。
・遠藤和也 外務省国際協力局長(共同議長国)
今回の副高等弁務官訪日に合わせて、日本政府とUNHCRの政策協議を4年ぶりに対面で行うことができ、大変有意義な議論ができた。日本はG7広島サミットのコミュニケでも難民や受け入れコミュニティへの支援、今年12月のGRFに向けた国際社会との協力を表明しており、これからUNHCRとの連携をさらに強化していきたいと考えている。
・フィリップ・セトン駐日フランス大使(共同議長国)
GRFは、各国政府、国際機関、民間セクター、NGOなどが一堂に会する、まさに多国間協調主義を体現する重要な場であるととらえている。同時に、それぞれの立場で、難民支援の計画や提案を誰もが共有することができ、社会を変えるきっかけにつなげることができる場としても期待している。
・リーナ・アンナーブ駐日ヨルダン・ハシェミット王国大使(共同議長国)
ヨルダンでは、シリア紛争の影響もあり難民の数が人口の約3分の1を占めるまで増加し、経済的にもかなり厳しい状態が続いている。強制移動において高まる人道的ニーズには、国際社会による責任の分担が重要であり、GRFはそのカギとなる「難民に関するグローバル・コンパクト」の実践を確認する貴重な場である。
・カーフワ・トーファス駐日ウガンダ共和国大使(共同議長国)
今年12月のGRFの共同議長国を務めることは大変光栄であり、ウガンダとしてもその責任を果たすために、保護、社会統合、市民社会との連携、恒久的な解決策など、難民への対応に持続的な方法で取り組んでいきたいと考えている。
・アンヘラ・ドゥラン駐日コロンビア共和国臨時代理大使(共同議長国)
コロンビアでは、ベネズエラから逃れてきた人々が公的なサービスに平等にアクセスできるよう、タイムリーに実現可能な政策の適用を続けてきた。そのために、日本をはじめ、必要な支援に迅速に対応してくれるドナーの存在が大きな支えとなっている。
・ダビッド・ブラウン駐日スイス大使館 公使(共催国)
スイスでは、難民は経済、社会、文化、政治において重要な役割を果たす存在である。そのような認識がGRFを通じてさらに広く共有され、国際社会から難民に対する具体的な解決策が生まれる場となることを願っている。
さらに、UNHCRバングラデシュ代表のヨハネス・ファン・デル・クラウが、日本でも関心の高いロヒンギャ難民の現状について発表。2017年8月の軍事衝突以降、国際社会の関心は年々低くなってきていることへの懸念を指摘したうえで、日本からは政府や民間から継続的な資金協力があり、GRFに向けてもロヒンギャ難民支援への解決策が検討が進んでいることを大変心強く思っている、UNHCRとしても現場で必要とされている支援を続けていきたいと話しました。
これを受けて、今年春にバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを訪問した中谷元衆議院議員は、職業訓練や教育といった難民の能力強化、第三国定住の検討など、さらに日本が貢献できる支援が多くあるとコメントしました。
最後に逢沢議員は、今年12月のGRFに向けて、このような会合を持てたことは大変貴重であり、難民や受け入れコミュニティの負担の軽減や国際社会の責任の分担について、日本からも積極的に解決策を考えていきたいと締めくくりました。