UNHCRと自治体との連携強化に向けた活動の一環として、UNHCR駐日首席副代表のナッケン鯉都が佐賀県と長崎県を訪問しました。
■山口 祥義 佐賀県知事
佐賀県は「SAGA Ukeire Network ~ウクライナひまわりプロジェクト~」を通じて、ウクライナから避難してきた人々への支援を行っています。日本の自治体発のウクライナ支援の中でも、官民連携による先進的なネットワークとして知られています。
山口知事は「佐賀県には、国内外のあらゆる問題に対して、市民主導の自発的なネットワークが存在します。それは“縦糸と横糸が織りなすじゅうたん”のようなものです」と表現し、県ぐるみで作り上げてきた多文化共生の土台が、今回の迅速な支援につながったと話しました。
また佐賀県は、難民を助ける会(AAR Japan)など、日本のいくつかの国際NGOの地方拠点になっており、県としても積極的にNGOを招致しており、災害時などの緊急事態の連携など、日ごろから続けているパートナーシップの強化などの紹介もありました。
■公益財団法人佐賀県国際交流協会
佐賀県国際交流協会がモットーとしている「心の国境をなくそう!(Free of Your Heart of Borders!)」に基づく、多文化共生の地域づくり、グローバル人材の育成、国際交流団体などの活性化、官民連携のネットワークの構築などの活動について説明を受けました。
外国人に対する災害時の支援、コロナ禍での情報提供、また、スポーツや音楽などの文化交流など、地域に根差したきめ細やかな取り組みを通じて、市民との“心の国境”を取り除く工夫がされていました。
■認定NPO法人地球市民の会(佐賀県)
設立から40年、佐賀県を拠点とする地球市民の会は、市民社会を中心としたネットワークを活用し、国内外の災害支援、緊急支援、復興支援に取り組んできました。今回の訪問中、地球市民の会の創設者である故古賀武夫氏(享年57歳)についても話を聞き、グローバル時代を先取りし、世界平和や国際協力に尽力した古賀氏のパイオニアの精神が、現在も脈々と受け継がれていることが分かりました。
また、同会は「SAGA Ukeire Network ~ウクライナひまわりプロジェクト~」の事務局も務めています。岩永清邦事務局長は「これまでの積み重ねと活動を通して得られた市民の方々の信頼から、このような官民連携の取り組みが生まれた」と話し、オンライン面談からビザ申請、渡航、生活支援、こころのケアまで、 “ワンストップ”で実施されている包括的な取り組みについての説明がありました。
■園田裕史 大村市長(長崎県)
全国に2カ所設置されている入国管理センターがある大村市。園田市長は「物心つくころから自宅そばにあった入国管理センターは身近な存在」と話し、入国管理センターのある自治体として、有事の際には必要なサポートに努めたいと話しました。
また、海に面して開かれた地理的環境も影響し、長崎には外からの人々を受け入れる文化があるとして、UNHCRが推進している「難民を支える自治体ネットワーク」の理念にも共感を示しました。
/今回の視察を通じて、UNHCRからは「難民に関するグローバル・コンパクト」で提唱している“社会全体での難民支援”を実現していくために、自治体は重要なパートナーであることを伝えるとともに、難民に関する支援・啓発事業を日本社会で広げていくための協力を呼び掛けました。
また、2023年12月に開催される「グローバル難民フォーラム」などを通じて、今後のさらなる連携についての意見交換を行いました。