日本政府は、ミャンマーからバングラデシュに避難しているロヒンギャ難民への支援として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に6億円(約450万米ドル)の無償資金協力を決定しました。
2017年8月にミャンマーで起こった大規模な衝突により、バングラデシュに多数のロヒンギャ難民が避難し、現在も避難生活を続けています。今回の日本の協力を通じて、UNHCRはコックスバザールとバシャンチャール島に避難している人々の生活に不可欠なサービス、自立に向けたサポートを強化します。
コックスバザールでは、公衆衛生に必要な物資へのアクセスの改善、WASH(水と衛生)関連設備の運営と維持、人道支援が減少する中、ロヒンギャ難民の支援からの自立にむけた技術習得の強化を行います。
また、難民キャンプ近隣で暮らす脆弱なバングラデシュの女性の生計向上のために、近郊の街ウキヤにある職業訓練施設で、手工芸品の製作などの技術支援、生活向上の機会創出も支援します。
バシャンチャール島では、難民がコミュニティを支える力を身につけるため、教育や生計向上の機会拡大を支援します。ミャンマーの教育カリキュラム導入に向けたロヒンギャ難民の教員等のトレーニング、ジュート製品の生産所での職業訓練や技術訓練の拡大に取り組みます。さらに、一次医療施設2カ所、20床を有する国立病院、医療スタッフの住居の改修を行います。また、埋め立て地の確保等を通じ、ごみ処理やプラスチックリサイクル事業の強化を行います。
UNHCRバングラデシュ代表 ヨハネス・バンデール・クラウ
「日本政府からの新たな資金協力は、コックスバザールとバシャンチャール島で必要とされている難民の保護と支援、生計向上にまさに必要とされている支援です、私たちは現在、深刻な資金不足に直面しており、その影響はすでに、難民の食料へのアクセスに顕著に表れています。バングラデシュでのUNHCRの活動を支える最前線にいるのが日本です。今回の日本の協力に他国が続いていくことを切に願っています」
岩間公典 駐バングラデシュ日本国特命全権大使
「先月コックスバザールを視察した時、バングラデシュ政府とUNHCRが協働で実施しているロヒンギャ難民の登録用のIT技術に感銘を受けました。また、日本企業との連携により、ロヒンギャ難民の女性が布ナプキンの生産に取り組んでおり、生計向上プログラムが進んでいることもうれしく思いました。バングラデシュ政府、国連機関、NGOなどの献身的な活動にも心を打たれ、日本として継続的なサポートが必要だと実感しました。日本は引き続き、安全かつ持続的、自主的な帰還に向けた解決策への貢献を行うとともに、UNHCRなどの人道支援のパートナーとともに、難民と受け入れコミュニティの生活向上に取り組んでいきます。」
現在、UNHCRとパートナー団体はバングラデシュ政府と連携し、ロヒンギャ人道危機への「2023年共同対応計画(Joint Response Plan:JRP)」を策定中で、今回の日本の支援はその過程で非常に重要な役割を果たします。
2017年8月に危機が始まってから、日本はバングラデシュでのロヒンギャ難民対応に継続的な支援を行っており、これまでに、UNHCRを含む国連機関、NGOのバングラデシュでの活動に2億400万米ドル以上の資金協力を提供しています。
▶UNHCRバングラデシュのプレスリリース(英語)はこちら
日本は2023年12月に開催予定の「グローバル難民フォーラム」の共同議長国となることが決定しており、日本政府をはじめ、日本のさまざまなアクターによって実施されている難民支援の取り組みの共有、さらなる貢献への期待が高まっています。