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「私たち若者が行動することで、日本から“共生”への大きなムーブメントを起こしていくことができると確信しています」
12月初旬、そう壇上で力強いメッセージを発信したのは東京大学2年の金澤伶さん。この1年、Youth UNHCR*の代表として、同じ志を持つ仲間たちと一緒に、ユースだからできる難民支援について考え、行動してきました。
この日に開かれたのは「Youth UNHCR みんなの未来そうぞうコンペ 〜『共に生きる』こと〜」の表彰イベント。Youth UNHCRのメンバーが、約1年かけて準備してきた取り組みの集大成です。
日本のユース世代からコンペ形式で“アクションアイデア”を募るこの企画。そのテーマとなったのが、タイトルにもある通り、共生―“共に生きる”ことでした。
世界では今、難民をはじめ、多様な背景を持つ人々が同じ社会で“暮らす”ことが当然になっています。しかし、さまざまな違いが壁となり、必ずしも“共生”できているとは言えないという現実もあります。
そういった課題に対して、ユース世代でも、むしろ、自分たちだからこそ、身近なところから起こせるアクションがあるはずだと考えたYouth UNHCR のメンバーたち。そして、日本全国の同世代の人たちも巻き込んで輪を広げていきたいと、このコンペを考えつきました。
この企画がスタートしたのが、2022年入ってすぐのころ。まずは目の前の現実について“知る”ことが大切だと考え、複数のセミナーやオンラインイベントの開催などを通じて、日本各地のユースと学びを深めていきました。そして 9月からアイデアの募集をスタート。約2カ月で、小学生から若手社会人までと幅広い層から30を超えるアイデアが集まりました。
NGOや企業で難民支援に携わってきた人々を審査員に迎え、Youth UNHCRのメンバーはそのアイデア一つひとつにじっくり目を通していきました。「発見の連続だった」「応募者の想いに心を打たれた」「一緒に行動できる仲間がいると分かってうれしかった」・・・さまざまな意見が飛び交うなかで審査は難航しましたが、最終的に7団体・個人のアイデアの受賞が決まりました。
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そして迎えた表彰イベント。ここにもYouth UNHCRのこだわりがありました。日本全国に取り組みを広げていきたい、そのためにも、東京以外の場所で表彰イベントを開催したい―。そんな想いに応えたのが、UNHCRの「難民を支える自治体ネットワーク」のメンバーでもある岡山県瀬戸内市でした。
「ウクライナ危機が起こり、この現実にどう向き合っていくのか、みんなが考えなければならない時にきている」。そう訴えるのは瀬戸内市の武久 顕也市長。今回、表彰イベントの開催を快諾した理由について、「まずは世界の問題を身近に感じ、世界はつながっていると実感することが大切。日本の地方でもそのきっかけをつくり、行動できることがあるはずだと思いました」と話します。
そうして瀬戸内市で開催された「Youth UNHCR みんなの未来そうぞうコンペ 〜『共に生きる』こと〜」の表彰イベント。それぞれの受賞者からアイデアについての発表があり、また、特別ゲストとして、地元にある日本ITビジネスカレッジの若者たちからも、地域でできる難民支援についての発表がありました。
通していたのは、日々の暮らしから見えてくるアイデアであるということ。審査員からは「若者ならではの柔軟な発想ばかり」「ユースのアイデアをサポートして、形にしていくのも大人の役割」といったコメントがありました。
表彰イベントの当日、瀬戸内市の会場で「やっと今日という日を迎えられて本当にうれしい」と、ホッとした表情を見せたYouth UNHCRのメンバーたち。「このコンペをきっかけに、私たちとともに行動する人が増え、難民支援の裾野を広げていくことができたらうれしい」と口をそろえます。
そしてすでに、それぞれのアイデアをどう実現していけるか、その“アクション”もスタートしています。UNHCRはこれからも、ユース世代の活動を応援し、共に活動を続けていきます。