フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が11月7日~9日の日程で訪日し、世界各地で故郷を追われている人々への理解促進と日本とのさらなる連携に向けて、政府、自治体、民間セクター、市民社会などと面談を行いました。
主な訪問先は以下の通りです(順不同)。
JICA田中明彦理事長
今年8月の「第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)」でのシンポジウムの共催など、これまでの継続的な連携への感謝を伝えるとともに、JICAとUNHCRの難民支援の現場での事業、イベントでの協力、人事交流などの取り組みについて意見交換を行いました。
また、教育分野での受け入れを含めた協力の拡大に向けて、引き続き検討を行っていくことも約束しました。
横浜市
自治体連携の一環として、外国人受け入れや多文化共生の取り組みを積極的に進めている横浜市を訪問しました。
山中竹春市長からウクライナから避難してきた人々に対する市の取り組みについてのブリーフィングを受けて、日本の自治体の難民受け入れの推進役として、これからもリードしていってほしいと伝えました。また、ウクライナ交流カフェ「ドゥルーズィ」(ウクライナ語で「友達」)では、現在の生活や必要な支援について難民から話を聞きました。
ウクライナ危機への寄付を受けた横浜市会の訪問では、難民支援における自治体の役割や連携の可能性について共有するとともに、自治体は重要なパートナーだと強調しました。
日本経済団体連合会(経団連)
ウクライナ危機に対して経団連や日本企業からUNHCRに寄せられた支援への感謝とともに、難民支援では企業のテクノロジーやノウハウが大きな力となること、日本の民間セクターからのさらなる貢献への期待を伝えました。
「持続可能な開発目標(SDGs)」で掲げられる”誰一人取り残さない”社会の実現のために、今後も対話、連携を続けていくことを約束しました。
ユース団体「EmPATHy」(エンパシー)
日本の大学生、日本で暮らす難民のユース世代などのイニシアティブにより、新しいプラットフォーム「EmPATHy」の立ち上げが発表になり、お披露目会が行われました。日本で共生社会を実現するためにユース世代ができること、そのためにメンバーで考えた団体が掲げる理念や活動について発表がありました。
グランディ国連難民高等弁務官は「ユースの皆さん自身の言葉と行動で、ユースの強みを生かし、世界の現状を伝え、日本から難民支援の輪を広げてほしい」とエールをおくりました。
富士メガネ 金井昭雄会長
日本の企業として「海外難民視力支援ミッション」などを通じて、難民支援を続けてきた富士メガネの金井昭雄会長と面談しました。
日本人初のナンセン難民賞の受賞者でもある金井会長に、長年にわたる同社の貢献に対する感謝を伝え、日本企業の難民支援のパイオニアとして、今後も日本の民間セクター主導の取り組みをリードしてほしいと伝えました。
J-FUN(Japan Forum for UNHCR and NGOs-日本UNHCR・NGO評議会)
J-FUNに加盟するNGOのメンバーからそれぞれの取り組みや課題、UNHCRへの期待などについての報告がありました。日本のNGOならではの強みを生かし、これからも歩みを止めずに力を発揮し続けてほしいと期待が伝えられました。
葉梨康弘 法務大臣
ウクライナ、アフガニスタン、ミャンマーなどから避難してきた人々の受け入れ、第三国定住の再開など、日本の寛容な支援に感謝を伝えました。
難民保護、国籍に関する法制度のさらなる向上、今後の協力関係の強化などについても協議しました。
中谷元 内閣総理大臣補佐官
日本の寛大な支援に感謝を伝えるとともに、ウクライナ危機のみならず、アジア、中東、アフリカなど、深刻な人道危機が続いている国々に対する支援の重要性をふまえ、故郷を追われた人々に対するさらなる支援において協力することを確認しました。
UNHCR国会議員連盟 特別会合
UNHCR国会議員連盟主催で開かれた特別会合に出席し、世界の難民、無国籍者の現状や課題を共有するとともに、日本による効果的な支援の継続を求めました。
日本が人道・人権で果たすべき役割を考え、UNHCRとも連携して取り組んでいきたいとコメントがありました。
難民を支える自治体ネットワーク
世界53カ国・284の自治体が参加している 「難民を支える自治体ネットワーク」の参加自治体の首長などとの交流会に参加しました。
「他の自治体にそれぞれの強みや経験を広めて、日本の難民支援の輪を広げていってほしい」と訴えました。
秋篠宮皇嗣同妃両殿下
東京・元赤坂の赤坂東邸で、秋篠宮皇嗣同妃両殿下にご接見の機会を賜りました。両殿下とは初めてのご接見であり、世界の難民問題に関して幅広い話題が上がりました。日本の政府や民間セクターからの支援に関して特にご関心を寄せられており、東京オリンピック・パラリンピックに出場した難民選手団、元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの想い出話にも花が咲きました。
衆議院本会議
衆議院本会議を傍聴し、冒頭で細田博之 衆議院議長よる紹介を受けました。
細田博之 衆議院議長
世界の難民問題について意見交換を行い、世界で1億人を超える人が故郷を追われていることは、大変悲しい現実であるとのコメントがありました。
一人ひとりが平和な生活を取り戻せるよう、日本が先頭に立って、国際社会に協力を促していかなければならないと話しました。
林芳正 外務大臣
これまでの日本の支援に感謝を伝えるとともに、世界で1億人以上が故郷を追われている現実を前に、国際社会からの継続的な支援が必要だと訴えました。また、日本はUNHCRにとって重要なパートナーであり、今後も連携を強化していきたいと話しました。
林大臣からは、紛争や気候変動の影響により人道危機が長期化、複雑化するなか、来年のG7議長国という立場からも、日本として引き続き貢献を続けていくとコメントがありました。
木原誠二 官房副長官
世界中で紛争や暴力、人権侵害、迫害などにより避難を余儀なくされている人たちが1億人を超えたことに触れ、日本政府と日本社会からの支援への謝意を伝えました。また日本の世界におけるリーダーシップに触れ、深刻化する人道危機や難民を取り巻く問題解決に向けてG7議長国、来年12月の「グローバル難民フォーラム」の共同議長国としての呼び掛けなどに対する期待を伝えました。
ファーストリテイリング
柳井正社長と会談を行い、今年始まったバングラデシュでのプロジェクトや来年のグローバル難民フォーラムをはじめ、今後も故郷を追われた人々の支援を協働していくことを確認しました。
また、同日に行われた28社のメディアが出席した記者会見では、バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプにおけるロヒンギャ難民の女性を対象とした自立支援プロジェクトの開始も発表され、また高等弁務官からは、「日本のより多くの企業に難民支援の輪に加わってほしい」とのメッセージがありました。プレスリリースはこちら。
日本記者クラブ会見
日本記者クラブで訪日の総括を行いました。記者会見のレポートはこちら。