2月下旬、超党派で構成されるUNHCR国会議員連盟(UNHCR議連)とUNHCR駐日事務所が共催で勉強会を開きました。
今回のテーマは「日本国内の難民保護・無国籍への対応における課題」。難民や無国籍者への理解を日本の社会全体で進めていくために、これまでの取り組みや課題を共有し、意見交換を行いました。
冒頭では、UNHCR本部国際保護総局副局長パトリック・エバより、難民条約に基づいた #難民保護の基本原則 やUNHCRが各国で果たす役割などについて紹介がありました。日本では出入国在留管理庁との協力が昨年の覚書の締結によって一層深まっていること、この数年にわたり、難民認定手続きの一層の改善、第三国定住の拡大や他の形態での難民受け入れの導入が進んでいることを歓迎していると話しました。
無国籍については、2019年の「無国籍に関するハイレベルセグメント(HLS)」において、日本政府が「すべての人にとって大きな懸念の対象である問題」であるとしたこと、昨年入管庁が行った日本出生の無国籍の子どもの国籍問題の解決のための取り組みなどに感謝の意を述べるとともに、UNHCRが #IBelongキャンペーンで目指す2024年までの無国籍根絶に向けた貢献を評価しました。また、さらなるステップとして、無国籍者を認定して保護する手続きの設置を促しました。
また最近、日本で「Welcome Japan」をはじめとした民間のイニシアティブによる取り組みが活発化しているとして、UNHCRとしてもこの動きを後押ししたいとも話しました。
続いて、UNHCR駐日副代表(法務担当)の川内敏月から、日本における難民保護・無国籍の対応の取り組みや課題についての共有がありました。教育や雇用などを通じた難民の受け入れなど、恒久的な解決に向けて、日本でも社会全体の取り組みがますます重要になってくると強調しました。また、無国籍のリスクにさらされているフィリピン残留日系人について、日本政府も早期解決の意思を表明していることにふれ、 当事者が高齢であることも考慮し、国籍確保のための方策・二国間協力のなんらかの枠組みが至急必要であると訴えました。
質疑応答のセッションでは、UNHCR議連の事務局長の猪口邦子 参議院議員をはじめ出席した議員から、難民認定の進め方のほか、フィリピン残留日系人の方々を含め国籍・無国籍問題への対応についての他国の好事例、日本での効果的な取り組みなどついて質問が相次ぎ、無国籍に関する関心の高まりもみられました。
UNHCR 議連会長の逢沢一郎 衆議院議員は「ウクライナで軍事行動が始まるという大変危機的な状況にあり、世界で故郷を追われる人の数も毎年増え続ける中で、このような勉強会での議論をしっかりと続けていきたい」と力強く話し、難民・無国籍者への支援の輪を自治体レベルから広めていく必要性、各議員も関係の深い自治体でそれを後押しできることなどに言及しました。
これを受けてUNHCR駐日代表カレン・ファルカスは「これまで以上に社会全体での協力が必要となる中で、今日のような場は、UNHCRや故郷を追われた人々にとって重要なサポーターである日本と連携をつないでいく良い機会です」と応えました。
2022年の今後の勉強会は、アフガニスタン・ミャンマーの人道危機、アフリカと民間連携、日本での難民・無国籍に関する対応と課題、自治体との連携などをテーマに開催される予定です。