3月8日は国際女性デー。女性の権利やエンパワメント、ジェンダー平等について考え、その実現に向けて世界が心をひとつにする日です。
紛争や迫害により故郷を追われた女性たちは、脆弱な環境下で、さまざまな困難に直面しています。その中には、家族を守ろうと懸命に働く女性、自分の夢をあきらめずに努力を続ける女性、さまざまな姿があります。
2022年の国際女性デーは、UNHCR難民高等教育プログラム(RHEP)を通じて、日本の大学や大学院に進み、それぞれの目標に向かって歩みを進めている女性たちの「昔と今」を写真とともにご紹介します。
ティージャさん
小学生難民大学生
鮮やかな民族衣装が印象的なミャンマー出身のティージャさん。小学5年生の時に家族で日本に逃れてきました。
「日本の小学校に入学したのですが最初は大変でした。忘れられないのが、たて笛の吹き方が分からなくて、みんなの前で変な音を出してしまったこと。とても恥ずかしかったのですが、今では笑い話です(笑)」
それでも家族みんなで暮らせることが一番の幸せ―。日本語を懸命に学び、学校で友達もたくさんできました。現在は聖心女子大学の2年生。「好きな作家は森鴎外」と話すほどの読書好きで、学校で一番好きな場所は図書館です。
「将来はまだ決めていないけれど、インターンシップなどに参加して、いろいろな分野の仕事にチャレンジしてみたいです」。ティージャさんの挑戦はすでに始まっています。
カディザさん
難民大学生母親ユニクロ店員大学院生
ロヒンギャとして生まれたカディザさんは、そのバックグラウンドから、幼いころから「さまざまな機会を得ることが難しかった」と振り返ります。
でも自分の人生において、“学び続けたい”という夢は、決してあきらめませんでした。
先に難民認定を受けていた夫を頼って来日し、日本で学校に通いたいと日本語をゼロから猛勉強。青山学院大学への入学を果たしました。在学中に子どもを授かり、夫のサポートを得ながら学業と子育ての両立に励みました。
そして、難民雇用の制度を通じて働いたユニクロでも、持ち前の明るさとパワフルさで店舗で大活躍。日本のロヒンギャコミュニティの仲間たちの力になりたいと、日本語教育の支援などにも取り組んでいます。
現在は大学院進学の夢をかなえ、難民の人権について研究中です。カディザさんの学びの夢の実現への道のりはまだまだ続きます。
ラン キムさん
小学生難民大学生人材紹介会社
ミャンマー出身のラン キムさんは、少数民族でキリスト教徒という背景から、幼いころから差別、人権侵害に直面してきました。7歳の時、子どもにより良い教育を受けさせたいという両親の願いもあり家族でヤンゴンに移住、2007年に来日しました。
「言葉の壁を克服すること、難民申請手続きをしながらの生活はとても大変でした」。さまざまな壁を乗り越えて関西学院大学への進学を果たし、さらに東京大学公共政策大学院で学ぶことができたことは、努力の末に得た“最大の成果”と胸を張ります。
現在は人材紹介会社で、日本でのキャリアを目指す外国人人材を日本企業に紹介する業務を担当しています。さらに、“難民も日本も、皆でたくましく”をテーマに、より良い社会づくりを目指して設立された「Welcome Japan」の主要メンバーの一人としても活躍しています。
「国際女性デーに寄せて、家族、民族、そして世界のために、これまで女性たちが献身的に力を注いできてくれたことに感謝したい」とラン キムさん。そして、この世界のすべての女性、特に自分と同じ難民のバックグラウンドを持つ人たちに、どんな状況でも、どんなに困難に直面しても、絶対に夢をあきらめないでほしいと願っています。