© UNHCR/Ko Sasaki
2020年3月、オリンピック発祥の地ギリシャから日本に運ばれてきた聖火。新型コロナウイルスの感染拡大により、聖火リレーの公道での走行は多くの地域で中止となりましたが、一人ひとりのランナーがそれぞれの想い、それぞれの方法で、聖火をつなぎました。
その中には、平和への願い、難民支援への想いを込めたランナーもいました。
その一人が、エチオピア出身のメコネンさん。日本に逃れてきてから、住まいや仕事を探す時、日本語を学ぶ時などさまざまな場で、周りの人に助けてもらったといいます。「言葉も文化も分からない、友人もいない、完全にゼロの状態から始まった日本での生活は、おかげで幸せで充実したものになりました」と話します。
メコネンさんは、オリンピックはスポーツを通じて世界がひとつになるイベントであり、その聖火ランナーに難民を代表として参加できるのは光栄なことであり、「日本で生活をしている喜びと、感謝の気持ちを表現すると共に、日本の素晴らしさを、世界にアピールしたい」と訴えました。
「決してあきらめなければ、暗闇はいずれ過ぎ去り、光が見えるというメッセージを伝えたい」と話すのは、エリトリア出身のアビータさん。大好きな故郷エリトリアは決して平和とはいえず、これまでたくさん苦しい思いもしました。しかし周囲の助けもあり、今は家族と日本で安全に暮らすことができ、これこそが“私の夢であり、平和の形”といいます。
まだまだ日本語が分からず困ることもありますが、あきらめず勉強に励んでおり、「いつか“ママ友”をつくって、子どものことを日本語で話せるようになりたいです」と笑顔で話してくれました。
35年以上にわたり、メガネ寄贈などを通じて難民や国内避難民の支援に携わってきた金井昭雄さんは、聖火リレーに代わって行われたセレモニーに「世界中の難民の方が一日でも早く、故郷に戻れることを願いながら参加しました」と話します。
また、2016年リオ五輪に続いて、東京五輪にも29人の難民アスリートから成る難民選手団が参加することにもふれ、一人ひとりのアスリートが全力を尽くして、良い思い出を持って帰ってほしいとメッセージを発信しました。
UNHCRを代表して聖火リレーに参加したUNHCR駐日代表のカレン・ファルカスは、難民を含めて”誰一人取り残さない”世界の実現に向けて、故郷を追われた人たちへの支援を呼び掛けるとともに、難民支援の現場でのスポーツのチカラを訴えました。
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