フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、東京2020オリンピック競技大会に出場するオリンピック難民選手団を激励するため、高等弁務官として6回目となる訪日を行いました。
この機をとらえ、日本政府、難民支援のパートナーとの会談を行い、難民問題の恒久的解決に向けて、日本とのさらなる連携強化についての議論を行いました。
■菅 義偉 首相
日本の長年にわたる難民支援と日本の人々の多様な貢献、オリンピック難民選手団の受け入れに対する感謝を伝えました。日本は人道支援を率いる重要なドナー国の一つであるとして、世界各地で増え続ける故郷を追われた人に対するさらなる支援、国際社会における責任の共有を求めました。
菅首相からは、世界で難民問題が複雑化する中でUNHCRの役割がさらに重要になっているとして、日本のNGOや企業との連携促進に対する期待に加え、日本としてオリンピック難民選手団の出場を歓迎していること、難民問題の関心喚起のきっかけになってほしいとのコメントがありました。
■茂木 敏充 外務大臣
難民問題に対する日本の継続的な貢献と人道支援が難民の命を救い、生活再建につながっていると感謝を伝え、新型コロナウイルス、気候変動など新たな課題への対応が今後ますます重要になってくるとして、日本からのさらなる支援、UNHCRとの連携強化を求めました。
茂木外相は、オリンピック難民選手団への歓迎の言葉とともに、故郷を追われたすべての人のために日本の支援が有効に活用されることを期待すると述べました。
■上川 陽子法務大臣
日本の庇護制度の質と効率性の向上におけるさらなる連携強化を目指して、上川法相、グランディ高等弁務官の立会いの下、難民認定制度に係る出入国在留管理庁とUNHCRとの間の協力覚書(Memorandum of Cooperation: MOC)が交換されました。
グランディ高等弁務官は、今年は日本が難民条約に加入して40年の記念の年であることにふれ、庇護制度のさらなる向上や無国籍問題への取り組みに向けて、日本との連携を強化していきたいと伝えました。
■UNHCR国会議員連盟
超党派から成るUNHCR議員連盟の逢沢 一郎衆議院議員、猪口邦子参議院議員、谷合正明参議院議員と面談し、国内外の難民・無国籍者の現状について、新型コロナウイルス対応、ジェンダー、ミャンマーでの取り組みなど多岐にわたって意見交換を行いました。日本が国際社会の一員として難民問題の課題解決に貢献を続けていくために、国内の受け入れにおいても環境整備に取り組んでいきたいとコメントがありました。
■北岡 伸一 JICA(国際協力機構)理事長
UNHCRの長年にわたるパートナーである北岡JICA理事長と面談し、難民支援の現場での「人道と開発のNEXUS(連携)」の強化に向けて、人道支援や平和構築、開発援助での分野での連携について意見交換を行いました。
グランディ高等弁務官からは、JICAのイニシアティブにより実施されている「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム(JISR)」は難民の教育の機会拡大の先駆的な取り組みであるとして、今後の展開に対する期待も伝えられました。また、来年にチュニジアで開催が予定されている「第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)」での連携についても言及されました。
■MIYAVI UNHCR親善大使
2017年からUNHCR親善大使を務めるMIYAVI とオンラインで意見交換を行いました。MIYAVIは、たくましく日々を生き抜く難民たちから学ぶべきことがたくさんある、国内外で自分のできる貢献を続けていきたいと伝えました。また、グランディ高等弁務官からSNSなどを通じた多様な情報発信の大切さについても言及があり、MIYAVIとアイデアを共有し合うとともに、難民支援の現場訪問の可能性についても話し合いました。
■東京2020オリンピック競技大会
国際オリンピック委員会の招待を受け、東京2020オリンピック競技大会の開会式に出席するとともに、オリンピック選手村訪問や難民アスリートの試合観戦を行い、難民選手団の代表を激励しました。くわしくはこちら
グランディ高等弁務官は今回の訪日を振り返り、日本との連携強化についてさまざまな議論ができ大変充実した東京滞在であり、この困難な時期にあたたかく迎えてくださった日本政府、そして日本のすべての皆さんに感謝したいと話しました。