これまで毎年、国連難民高等弁務官をはじめUNHCRの幹部職員が来日し、日本国内で難民支援に携わるステークホルダーとUNHCRで活発に意見交換を行ってきました。
しかし、今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため来日が難しいことから、オンライン会議システムを活用して、ジュネーブと日本をつないで議論の場が設けられています。
12月初旬には、超党派で構成されるUNHCR議員連盟の主催でフィリッポ・グランディ高等弁務官との意見交換会が行われ、逢沢一郎 UNHCR議員連盟会長、猪口邦子 UNHCR議員連盟事務局長、山下貴司議員、谷合正明議員が出席しました。
グランディ高等弁務官は、脆弱な医療・衛生環境の下で難民はさらなるリスクに直面していること、コロナ禍でも止むことのないアフガニスタン、エチオピア、ベネズエラやシリアにおける人道危機や難民の直面する現状についてなど、最新の情報を共有しました。そのうえで、UNHCRのコロナ対応や人道危機に対する日本の寛容な支援、日本における第三国定住枠の拡大や「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム(JISR)」に感謝を述べるとともに、国際社会を代表として、さらなる日本の貢献への期待を述べました。
議連のメンバーからは、難民へのワクチンの確保、ロヒンギャ難民への対応などについて質問が投げかけられました。政府で検討が進められている外国人 収容・送還問題に関する法改正については、「ノン・ルフールマン原則」に沿った内容になることが重要であるというコメントもありました。
「いかなる時もUNHCRは現場に根差して支援を続けるという使命を果たしていく」というグランディ高等弁務官の発言に対して、逢沢議員は国際社会の一員として日本は特に難民を含む最も弱い立場にある人々の苦しみに目をつぶることはできない、2011年の第179回国会で採択された「難民の保護と難民問題の解決策への継続的な取り組みに関する決議案」を忘れてはならないと述べました。