難民支援に若者の創造性を生かしてほしいー。新型コロナウイルスの危機の中で「若者にもできること」を提案したいと、UNHCRが立ち上げた「ユース難民アートコンテスト」。
1枚の絵、もしくは、コミック・ストリップで、故郷を追われた人たちへのメッセージを自由に表現してもらう。そして、その作品をアニメーションにして動かすことができれば、若者たちの想いに命が吹き込めるのではないか。コンテストを担当するUNHCR職員から生まれたアイデアでした。
アニメーションの協力を得られる会社を探していたところ、白羽の矢が立ったのが、日本のクリエイティブカンパニー株式会社スピードでした。デジタルコンテンツ・ソフトウェア産業の推進のため、2012年に設立されたスピード。「ユース難民アートコンテスト」を通じて、難民支援に初めて参加したスタッフの想いとは。
―「ユース難民アートコンテスト」に協力することになった経緯は?
”当たり前”だった生活が一変した今、人とのつながり、思いやりがあらためて大切なことだと気付かされました。今回、アートを通じて、国、人種、性別問わず、一人ひとりが前に進んでいくというメッセージを届けられるこの企画に賛同し、参加させていただきました。
若者の想いが込められた作品にアニメーションをつけることで、メッセージをより強く羽ばたかせることができればと思います。
― グローバル賞に選ばれた7作品のアニメーションどのように作りましたか?
「難民のスーパーヒーロー」
作品に力強さを感じ、キャラクターの笑顔が印象的でした。アニメーションで、勇敢な難民の少女の中にある愛らしさを出せればと思いました。
「ウイルスと日常との闘い」
新型コロナウイルスに立ち向かうという強い意志が、シンプルな絵の中に込められていると思い、少年の勇ましさや力強さが出るように心掛けました。
「希望の光」
色使いが魅力的で、ストーリーが良く表現されていました。この作品の要である、ストーリー性を大切にアニメーションをつけています。
「すべての場所で守る」
二つの手が難民の人々を新型コロナウイルスから守っている絵から、お互いに協力して乗り越えようという思いを感じました。その思いが伝わるように気持ちを込めて動きをつけました。
「愛は愛を生み出す」
4枚の絵から成る物語から” 優しさのつながり” を強く感じ、動かすのが楽しみでした。ストーリーを感じられるよう、コマをスライドして途切れのないつながりをしています。
「暗闇の世界、青いハート」
大胆なレイアウトと色彩に強さを感じました。モノトーンのデザインを生かし、後半にかけて中央の少年の心が満たされていくメッセージを演出に込めました。
「愛の雨」
多くのハートが降り注いでいるのが印象的で、温かい気持ちになりました。ハートを受け取る人々の喜びが伝わるように制作しました。
―世界100カ国から届いたアート作品から感じたことは?
選考時からすべての作品を拝見させていただきましたが、世界中の若者の思い、訴える力に感銘を受けました。どの作品にも希望やこれから前を向いて生きていく思いが込められており、国境を越えてもアートで私たちは一つになれることを強く感じています。
これからも私たちの持てる技術で、一人でも多くの人たちに夢や希望を輝かせる作品作りをしていきたいです。