誰にとっても、初めて学校に行く日は期待と不安が入り混じるもの。リナ(10)とミギュエル(14)にとってはまさに人生の一大事でした。
2018年4月以降続く情勢不安によって、故郷ニカラグアから避難を余儀なくされたリナとミギュエル兄妹。「学校を辞めさせ、避難することは苦しい決断でした。でも、これ以上危険な目にあわせるわけにはいかなかった」と、母親のメリッサ(35)は話します。反政府デモの激化を受けて、隣国コスタリカへの避難を決めました。
「危険な状況の中で学校に証明書をもらいに行く時間もなく、小さなかばん1つで避難しなければなりませんでした」
学校に通っていた記録もなにもない、子どもたちは避難先では学校に通えないかもしれない・・・。そう思っていましたが、コスタリカではすべての子どもに無償の初等教育を保障されていました。特にコスタリカ北部の小学校の多くは、ニカラグアからの多くの人が逃れてきているため、公的な書類なしでの入学許可、避難で学習が遅れてしまった子どもための補講などのシステムができていました。
「故郷を離れなければならなかった子どもたちが、学校を家のように感じられるようなれば」と、リナの学校の先生は話します。
隣国から逃れてきた子どもの受け入れにより、前年に比べて小学校への入学申し込みが2割増えた町もあります。「教育は人権です」と強調するのは小学校教師のエゲニーノ。教師仲間とともに、住む場所のないニカラグア人家族のために一時的なシェルターを建てるなどの活動も行っています。
UNHCRはコスタリカでニカラグアの子どもたちの受け入れがスムーズに進むよう、学校や受け入れコミュニティを支援しているほか、机や椅子など学習用具の提供を通じて、コスタリカの政府や現地の人の難民支援を後押ししています。
「今一番うれしいことは勉強できること。将来はお医者さんになりたい」と目を輝かせるミギュエル。今日も妹のリナと手をつないで、元気に学校へ通っています。
世界の難民の半数は子どもで、初等教育を受けられているのは約6割。UNHCRは避難を強いられた子どもたちが学びを続けることができるよう、世界各地のパートナーと連携しながら支援を行っています。
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