東京(27日)発――11月26日から27日の2日間、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、昨年12月以来、就任後三度目となる訪日を果たした。外務・法務両大臣など政府関係者との協議、緒方JICA(国際協力機構)理事長やNGOなどのパートナーとの意見交換のほか、26日には訪日記念シンポジウム「人道支援と企業のCSR~報道を越えて、『難民。をプロデュース』~」にて基調講演を行った。
今回の訪日では、米国に次ぐ第2位の拠出国であり続ける日本からの支援に対する感謝を表明。UNHCR にとって重要なパートナーである日本との協力関係がさらに強化していることを確認した。高村外務大臣との会談では、日本政府が、イラク難民支援への400万ドルの拠出を決定したこと、また南部スーダンにおいて日本政府からの支援にてUNHCR の現場における機能を強化する過程で、日本のNGOの積極的な参加が役立っていたことを述べた。また来年のTICAD4(第4回東京国際アフリカ開発会議)やG8先進国首脳会議へ向けた平和構築や人間の安全保障などの共通の課題も確認した。高村大臣と、さらには鳩山邦夫法務大臣との会談では難民の保護と問題の恒久的解決をめざした連携強化を目指し、日本国内における難民の保護について意見交換を行い、連携を一層密にして、難民問題に取り組むことで合意した(別添:グテーレス高等弁務官訪日に際する庇護プロセスに関する我が国とUNHCRの協議)。また内閣府国際平和協力本部を通じて表明されたスーダン、ダルフールへの緊急物資支援の感謝式典も行われた。
グテーレス高等弁務官訪日記念シンポジウム「人道支援と企業のCSR」~報道を越えて、『難民。をプロデュース』~」では、貧困、気候変動および環境の悪化、そして紛争および迫害により人々が強制的な移動を強いられる時代において、国際社会の様々な関与に加え、日本の市民社会、メディア、企業、そして学生たちの難民支援で果たす役割の大きさに関して期待を表明し、まずは現状を知ること、また「トレランス(寛容)」の精神を持つことを提唱した。またこのたびの訪日にあわせて開催した「表参道ジャック2007」ではファッショナブルな表参道・青山通りを、170名の参加者と共に自身もパレード行進した。国連ビル前では学生ユースを中心に内閣府国際協力本部とJ-FUN(日本UNHCR-NGO評議会)、さらには表参道・青山通りの協力店舗と共にスタンプラリー、テント展示などを通じてより多くの人々に「普段着を着てできる」難民支援を提唱。
グテーレス高等弁務官は、森喜朗元内閣総理大臣・UNHCR 国会議員連盟会長と逢沢一郎UNHCR 国会議員連盟事務局長の進行のもと開催されたUNHCR 国会議員連盟の会合にも出席。今後の活動方針や世界の難民問題の現状について説明した。
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