東京(6日)発――UNHCRは2007年7月、同1月に発出したアピールの総額を約1億2300万米ドルと改訂し、UNHCRからもハイレベルの会談などの場において日本に対しての支援要請をしていた。今般日本政府はUNHCRのイラク難民支援事業に対し、約400万米ドルの支援を決定し、小野寺外務副大臣が「第2回イラク安定化に関する周辺国拡大外相会合」において、日本政府がUNHCRを通してイラク難民に対する支援を発表した。
グテーレス高等弁務官は、400万人以上のイラク国内外に逃れた避難民が一つの集団としては最も大きく、史上最多の都市部からの難民であると述べた。 また200万人以上の国外に逃れたイラク難民のうち、多くがヨルダンとシリアに暮らしているが、この2か国が背負っている負担は非常に大きいことから、国際社会による支援の必要性・重要性を訴えた。
シリア及びヨルダンは難民の大量流入により、国の基盤そのものが揺らいでいる状態にある。難民支援状況は悪化の一途をたどり、両国内での難民に対する保健医療、食糧・衣服の確保は困難を極めており、UNHCRは、両難民受入国に対しての支援は国際社会が取り組むべき、非常に重要な課題だと認識している。
シリアでは、ダマスカスを中心とするイラク難民の多い地域で、難民登録や難民に必要な保護措置(人権状況の把握及び改善、権利などに関するアドバイス)を、また保健分野ではシリア赤新月社と協力し、医療機材や医薬品の供与を展開することによって、状況改善に努める見通しである。ヨルダンでは、最も脆弱な1000家族に対し、4か月の食糧配給の実施、45か所の歯科施設に対する、必要な機材の提供、及びコミュニティセンターの設立による社会的弱者支援を実施する。
難民受入国の政府は、大量に流入したイラク難民対応への厳しい局面に立たされている。基本的なサービスを供給することがままならない状況を打開すべく、UNHCRは活動自体が困難な治安状況に直面するなか、難民、国内避難民の保護、保健、コミュニティ支援、物資の配給などを、各機関との連携を図りながら実施する。
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