「腎臓に疾患もあるし、ヘルニアの影響で歩くだけでも大変。生活も苦しいのに、薬代もかさんで困っていたんだ」
ハサン(61)は3年前、紛争で故郷を追われ、妻と4人の子どもを連れて親戚を頼ってイエメンの首都サナアに逃れてきました。
2015年に紛争が発生して以降、イエメンでは270万人の国内避難民が発生しています。多くの人が家を追われ、暴力や病気などの危険にさらされるなか、飢饉やコレラも発生し、その状況は過去最悪とも言われています。
UNHCRは未曾有の人道危機への対応として、現金給付を開始しました。年末までに合計4100万米ドルを投入し、70万人の国内避難民、13万人の難民や庇護申請者への支援を進める予定です。
すにで現金給付を受けたハサンは、「薬代や家賃に充てることができてよかった」と、ほっとした表情で話します。
UNHCRがSMSメッセージで受給証を発行し、それさえ見せれば、イエメン全土の銀行窓口で給付を受けることができます。都市から離れた人々にも柔軟に対応できる新たなカタチです。
二人の子ども、兄親子と暮らすシハム(27)が逃れてきたのは4カ月前のこと。西部の港町フダイダで爆撃が起こり、街の食料品店は営業停止に、子どもたちが空腹で泣きさけぶ日々が続き、避難を余儀なくされたといいます。現在、サナアで仮住まいをしていますが、現金給付を受けることができ、食費と家賃を補っています。
情勢不安が続くイエメンでは、食料、医療、教育など日々の生活に必要な支援が求められています。一人でも多くの人の生活を支えるためにも、UNHCRは国際社会からさらなる支援が必要だと訴えています。
▶ くわしくはこちら(英語)