2017年8月にミャンマーのラカイン州で起こった衝突以降、約70万人のロヒンギャ難民がバングラデシュに逃れてきて来月で1年。フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は7月初旬、バングラデシュのコックスバザールを訪問。多くのロヒンギャ難民が暮らすキャンプの中にある学習センターや病院などを視察しました。
今回訪問先のひとつとなったサダル・ホスピタルでは、病床数250を大幅に超える528人が入院しており、うち50人がロヒンギャ難民です。
「ロヒンギャであろうと、バングラデシュ人であろうと、私たちにとって“患者”であることは変わりません。難民と受け入れコミュニティ、今後も双方を支援していくためには、さらなる資金が必要です」と病院の医師は話します。
また、逃れてきた難民の半数以上が子どもとされるなか、特に改善を求められているのが「教育」です。
現在は1日に2時間だけ、ひとつの教室に多くの子どもたちが詰め込まれ、読み書き、計算、英語を学んでいます。最大の課題は、ロヒンギャ難民の子どもたちに向けた共通のカリキュラムがないこと。また、初等教育のみで、それ以上の教育の機会を提供することができていないのが現状です。
学習センターでは靴をぬいで床に座り、子どもたちや教員から話を聞いたグランディ高等弁務官。「すべての子どもが教育の機会を得られるよう、適切なカリキュラムをつくっていかなければならない。一生に一度しかない、子ども時代という貴重な時間は決して奪われてはならない」と強調しました。
前の週には、アントニオ・グテーレス国連事務総長、ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁が現地入り。世界銀行グループは約5億米ドルの資金提供を発表しており、グランディ高等弁務官はこのような大規模な支援が難民たちの可能性を切りひらいていく大きな一歩となると述べました
ミャンマーのロヒンギャ難民たちのふるさとは、いまだすべての人が安全に帰還できるような状況ではありません。バングラデシュでの生活の長期化に伴い、より持続可能な生活を送るためには、教育、医療、インフラを整備への協力が必要不可欠です。
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